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【視点】存亡の危機 現実の「息づかい」が見える 産経新聞論説委員・清湖口敏

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【視点】存亡の危機 現実の「息づかい」が見える 産経新聞論説委員・清湖口敏

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 「存亡の危機」の「存」も同様に、ほとんど意味をもたない帯説だと考えれば、これも十分に理にかなった「本来の言い方」といえようか。いやむしろ「存亡の危機」こそが、現実の息づかいを感じさせる生きた言葉ではないかと思えてならない。

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 わが国は今、核・ミサイル戦力を誇示して挑発を繰り返す北朝鮮や、日本領域の奪取を虎視眈々(たんたん)と狙う中国の強い脅威にさらされている。まさしく国家「存亡」の瀬戸際であるこの非常事態を、「危機」と呼ばずして何と呼ぶのか。

 「平家の真正な原本を求める学者の努力は結構だが、俗本を駆逐し得たとする自負なぞつまらぬことである。流布本(るふぼん)にはいわゆる原本なるものにあるよりも美しい叙述がしばしば現われる」(『平家物語』)。

 小林のこの一文になぞらえて言うなら、仮に俗用だとしても「存亡の危機」は、世に広く流布するなかで現実の空気を呼吸し続け、国語学者らが“真正”と捉える「存亡の機」なんかよりずっと生動感あふれる言葉に育っていった。

 現下の国難を恐怖する者にとって「存亡の機」とは、ああ何と悠長で間延びした、無味無臭でニュートラルな、いかにもすっとぼけた嘘っぽい響きであることか…。

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