事件・不祥事

山中所長を悩ませる予算不足の現状 論文不正は“研究者の薄給”を放置したツケ

 iPS細胞の論文捏造は研究者の「雇用不安」が原因か

 それに続く6月14日に安倍政権が閣議決定した「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」の中ではこう述べられている。

 「労働契約法の若手研究者のキャリア形成に対する影響を懸念する指摘もあることから、研究現場の実態を踏まえ、研究者等のキャリアパス、大学における人事労務管理の在り方など労働契約法をめぐる課題について関係省が連携して直ちに検討を開始し、1年を目途に可能な限り早急に結論を得て、必要な措置を講ずる」

 抽象的な言い回しであるが、ここでも研究者のキャリア形成、つまり前述した「無期雇用が研究者の能力開発の機会を奪う」という表向きの理由を掲げ、要するに研究者を労働契約法の適用除外について検討せよ、と言っているのだ。ちなみに改正労働契約法は民主党政権時代に国会で成立したものだが、安倍政権は成長戦略の名のもとで研究者の雇用安定よりも非正規の状態を存続させることを選んだことは注目すべきだろう。

 しかし、労働契約法を改正するとなると、手続き上、公益委員、労働者委員、使用者委員の3者で構成する厚労省の「労働政策審議会」で議論する必要がある。当然「研究者だけをなぜ適用除外とするのかと」いう労働者委員の反発も予想される。また、もともと無期転換に反対していた使用者委員にしても「大学だけを特別あつかいするのであれば、うちの業界も適用除外にしてくれ」という意見が出るかもしれない。そうなれば審議に時間がかかるし、改正法案成立も危ぶまれる。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング