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AKB目指す少女たちのホンネ ねたみ、悔し涙…内なる戦い
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AKB48、NMB48、SKE48…。日本のエンターテインメント界を牽引(けんいん)する彼女たちは、アイドルを目指す10代の女の子たちにとって憧れであり目標だ。容姿はもとより、厳しい選考やレッスンを経て一握りのメンバーが立てる大舞台。恋や女の子らしい楽しみも控えてストイックに歌やダンスに励む日々。夢見る世界は決して甘くない。そんな“アイドルの卵”たちの奮闘ぶりと「本音」を伝える。(高橋義春)
♪ダンダダーン、ズンズズーン-。
軽快な音楽が流れる中、Tシャツにパンツ姿というラフな格好の女の子たちが激しいステップを踏んでいた。躍動する身体、飛び散る汗、迫力満点のダンスにスタジオは熱気ムンムン。彼女らの真剣なまなざしからはステージ本番にかける意気込みが伝わってきた。
ミュージシャンなど音楽関係者を養成する「大阪スクールオブミュージック高等専修学校」(大阪市西区)。そのアイドル専攻コースの生徒らを中心に構成するユニット「SO.ON Project」の練習風景だ。
同コースには歌手やモデル、女優、グラドルなどを目指す“卵たち”が集まる。平成23年4月に結成された同ユニットは現在45人で、ヒップホップやバレエのレッスンをはじめ、ボイストレーニングなどの指導をプロから受けている。
「おはようございます!。よろしくお願いします!」。レッスンはまず講師へのあいさつから始まる。「今日から特訓やで」。講師(振り付け担当)の田川雅子さん(31)が強い口調ではっぱをかける。2月の同校のイベント(単独ライブとミュージカル)に向けた猛特訓が続く。もう“素人”ではない。各メンバーとも自分は何をやるべきか、理解した上で動くようになった。
「最初(結成当初)はまさに“よちよち歩き”で、こっちのことを聞いているだけだったのに、今は自己主張もでるようになった」。田川さんはメンバーらの成長をこう話す。
メンバーの宮崎里央菜さん(17)は「メンバーに入った当初、歌やダンスになかなか集中できなかったけど、今は周囲のことも考える余裕さえ出てきた」と語る。
そんな中、学級委員長の小西桃代さん(17)は「引っ込み思案だった私が、個性豊かなみんなをまとめているのが不思議。今は、みんなが同じ方向(ステージの成功)に突っ走るよう積極的に活動するのみです」と気合を入れる。
同校のキャッチフレーズは「今日も笑顔であいさつを」。エンターテインメントを目指しながら国語、数学、英語などの普通科目を学び、卒業時には大学入学資格が取得できる教育システムだ。毎年の入学説明会には北海道から九州までの中学卒業予定の少女たちが訪れるなど、注目度は「全国区」だ。
同校では年に2、7、11月の3回、芸能プロダクションやレコード業界と協力して「新人発掘プレゼンテーション」を開催。当日は業界の各スカウトが会場を訪れ、注目した生徒への面接のほか、ダンスやボーカルなどの実技を審査する。
同ユニットからはこれまで歌手や女優などでプロデビューしたメンバーのほか、大阪が拠点のNMB48のオーディションに合格したメンバーもいる。
「(芸能プロダクションなどからの)需要があれば(学校からの)供給もあるが、“自分色”をもたせたうえで、デビューさせたい」と田川さん。生徒らの夢を念頭に置き、指導する側、される側が互いに楽しくレッスンできることを常に心がけるという。
また同校の専任部長、稲村明子さんは「芸能界などに対し漠然とした憧れしかなかった生徒たち。ユニットに入り、ボーカルやダンスなどいろんなことに挑戦しているうち、徐々にやりたいことを見つけ出し、今では明確にプロを意識している」と強調する。
レッスンは厳しいが、発表の場となるライブ、ステージもあり、何より目標に向けての日々の生活がモチベーション形成に役立っている。
井上紗希さん(17)は「面倒なことから逃げてばかりだったのに、何にでも全力で頑張れる性格に変えてくれたみんなには感謝感激」と語る。
しかし、そんな仲間を絶賛する一方でメンバーは互いに“好敵手”でもある。「毎日、みんなと楽しく踊っているが、1番仲のいい子こそが私にとっては1番のライバル。絶対に負けたくない」。世界で活躍できるモデルを目指すという近藤亜由美さん(17)は闘争心をむきだしにする。
和歌山の高校から編入してきた守田唯菜さん(18)も「ここ(ユニット)は戦いの場。チャレンジ精神を武器に必ず生き残り、スターの座を射止めたい」と目を輝かす。
サンミュージック(東京)のアイドルグループ「さんみゅー」のメンバーに選ばれた仲間をうらやましがる子。ステージで「センター」を外れた時などに悔し涙を流す子もいる。“外”のライバルと戦う前に“内”のライバルとの競争が始まっているのだ。
そうしたサバイバルを乗り越えた先に「夢」はある。ガールズユニットが群雄割拠する中、アイドルを目指す卵たちの熱い“戦い”は続いている。
「SO.ON Project」の単独ライブ(入場無料)は2月5日午後5時、大阪市浪速区の「Zepp Namba」で。ミュージカル「BELIEVE」(一般3千円、高校生以下無料)は同23日午後1時と同6時、同市中央区の「シアターBRAVA」で。問い合わせはフリーダイアル0120・121・806。