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今年こそ!インフルエンザに賢い対応を

ニュースカテゴリ:暮らしの健康

今年こそ!インフルエンザに賢い対応を

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 発熱などの風邪症状に加え、筋肉痛や関節痛が辛いインフルエンザ。誰もがなんとか予防して冬を乗り切りたいと思うだろう。そこで、一番の予防策はワクチンの接種だが、これも万能ではない。シンプルながら有効だとされているのが手洗い、うがいの励行である。ただし、効果的に実行するにはコツがある。さらに、自己免疫力を高める生活、食習慣を心がけることも大切だ。最近では、インフルエンザ予防に特に役立つ食品についても研究が進んでいる。この冬、インフルエンザに賢く対応するためのポイントをまとめた。

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 ■インフルエンザの流行はすでに始まっている

 大型の台風に翻弄されたと思ったら、朝晩冷え込むようになり電車内で咳き込む人も増え始めた。10月下旬には、若手女優がインフルエンザにより新作映画の舞台あいさつを欠席するという報道もあり、急激な秋の深まりとともにいよいよインフルエンザの季節到来である。

 インフルエンザは急性の呼吸器感染症で、風邪と同じようにウイルスが気道の粘膜に感染して引き起こされる。38℃以上の発熱や関節痛、筋肉痛、倦怠(けんたい)感、さらにけいれんなどの神経症状など、全身に強い症状が出るのが特徴である。まずは、風邪とは違う病気だと認識してしっかり予防したい。

 インフルエンザには新型と季節性がある。鳥インフルエンザに代表される新型は、パンデミックになる危険性をはらむため、トリからトリへの感染を阻止するなど、社会全体での対策が求められる。

 一方、季節性は毎年周期的に流行するインフルエンザだ。国立感染症研究所のホームページで10月下旬の季節性インフルエンザ発生報告を見ると、数はわずかながら患者が発生しているのがわかる。例年に比べ特別に早いスタートというわけではなさそうだが、今年度のインフルエンザシーズンはすでに始まっているといえる。

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 ※国立感染症研究所URL

 http://www.nih.go.jp/niid/ja/flu-m/813-idsc/map/130-flu-10year.html

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 ■どうせするなら効果的な手洗いを

 感染症の予防に手洗い、うがい、マスクの着用が有効なことはよく知られている。インフルエンザウイルスの侵入口はのどと鼻なので、ここでしっかり防御することが肝心だ。

 各人が咳エチケットを守りマスクを着用するなどして、個人対策を取ることで蔓延(まんえん)を阻止して結果的に感染を防ぐことになる。使用するマスクは外科手術用でない限りウイルスそのものを防ぐことはできないが、一般的にドラッグストアで売られている粒子の洗いタイプでも飛沫を防げるので有効だ。

 鈴木宏新潟大学名誉教授は、手の洗い方にはポイントがあると言う。

 「手洗いでは、流水とせっけんを使う。その際には、付着しているウイルスが落ちにくい爪と指の間、指と指の間をくまなく洗うこと。アルコール系の手指消毒薬も有効だが、数回ごとに手洗いを併用してほしい。しっかり洗浄するには、20秒ほどの時間をかける。アメリカ疾病予防管理センターが推奨しているのは『Happy Birthday』の歌を2回ハミングして、洗う時間の目安にすることだ」

 手洗いといってもごく短時間で適当に済ませている人が多いかと思うが、コストもかからない上に簡単にできることなので、どうせするならポイントを抑えて効果的に実行してはどうだろうか。

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 ■なんといっても有効なワクチン接種

 インフルエンザで重篤な症状を起こさないために最も有効な方法が、流行前に行うワクチンの接種だ。インフルエンザワクチンは、病原性をなくしたインフルエンザウイルスの一部を使った医薬品であり、接種すると体がウイルスを異物として認識して抗体を作る。

 毎年、厚生労働省健康局の依頼に応じて国立感染症研究所が国内の流行状況、世界各地の情報などに基づいて、次年度シーズンの流行予測を行う。鈴木教授は、そのシーズンの始めにベトナムやミャンマーなど東南アジアでの発生が多いことから、東南アジアが流行株を知るポイントになるのではないかと言う。

 このように、いくつかのワクチン候補株を挙げ、その中から発育鶏卵での増殖効率、ワクチン製造株としての適格性を検討、次シーズンの流行予測を行うなどして選定される。2013~14年シーズンはWHO勧告を踏まえ、A/カリフォルニア(H1N1)、A/テキサス(H3N2)、B/マサチュセッツ(BX-51B)の3株がワクチン製造株として選定された。

 ワクチンを皮下注射することで血液中の抗体を増やすことができるが、完全に感染を防ぐことはできない。なぜなら、皮下注射で血液中の抗体は増えるが、ウイルスの侵入する部位である鼻やのどといった局所では効果を発揮しづらく、これらの部位にウイルスがつくことで感染する可能性を残してしまう。

 しかし、下気道(気管から肺まで)では抗体が十分に働くため、肺炎などの重篤な症状を防ぐことができる。高齢者施設において、入所者と医療従事者の6割にワクチンを接種すると大流行、施設内のいわゆるアウトブレイクを阻止することができるというデータがある。

 インフルエンザワクチンの効果の発現と持続時間には個人差があるが、一般には接種後2週間目ごろから5カ月間程度効果が持続するとされており、現時点での接種が早すぎるということはない。忙しい年末に突入する前にワクチン接種するのが懸命だろう。

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