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【著者は語る】米ハドソン研究所主席研究員・日高義樹氏

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【著者は語る】米ハドソン研究所主席研究員・日高義樹氏

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米ハドソン研究所主席研究員・日高義樹氏  □「アメリカはいつまで日本を守るか」

 ■変質する最強大国との関係模索

 世界最強の軍事力を持つアメリカが対シリア攻撃に及び腰だったこと、17年ぶりとなった連邦政府機関の閉鎖、オバマケアの問題、NSA(米国家安全保障局)の盗聴問題-とオバマ大統領の指導力低下が目立つ。

 今、アメリカは3つの要素を元に動き始めている。その要素とは、第1に、エスタブリッシュメント、国防総省や軍需産業、キッシンジャーのような人たちが考えている新しい世界戦略があげられる。それは、アメリカを外から攻撃する対象に対し本土から攻撃するという軍事態勢。そのため、日本を守る、アジアの安定を考えるという姿勢が手薄になってしまっていることだ。

 第2に、アメリカ人が、世界や国家の安全、将来のことよりも、自分たちの生活を大事にするようになってきたこと。

 第3は、シェール革命。シェールオイルの価格はサウジアラビア原油の約半額であり、アメリカ国内で産出されるから輸送代がかからない。そのためアメリカ企業の生産性が急速に上がってきた。従来アメリカは、民主主義を推し進めるために世界中から原油を輸入してきたが、今度は自分たちがもうけるためにシェールガスの輸出に力を入れようとしている。

 このような状況下で世界情勢も動いている。アメリカの力が後退し、中国とロシアが同盟体制を作り、中国とイランが新しい中東情勢を作ろうとしている。

 さらにヨーロッパは自分のことだけを考えるようになり、その結果、世界のパワーバランスが崩れている。日本はこうしたことを全くわかっていない。しかもアメリカは日本をお荷物と思い始めている。

 世界への影響力が後退する中で、アメリカが選んだ戦略は中国との経済関係を強化するというものだが、このアメリカを日本が助け、新しい日米同盟を作るためには何をしたらいいのか。

 アメリカの手の届かない地域、朝鮮半島、東南アジア、ロシアとの関係に日本が入っていき、関係を強化することだ。そのことによって強大な軍事力を持つアメリカとつなぎ合わせるということ以外にはない。次の大統領が誰になろうとも、今より日米関係がよくなる保証はないのだから。(1575円 徳間書店)

                   ◇

【プロフィル】日高義樹

 ひだか・よしき 1935年名古屋市生まれ。東京大学文学部英文科卒。59年NHKに入局し、外信部、ニューヨーク、ワシントン支局長、米国総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授、同大諮問委員を経て、現在は、ハドソン研究所主席研究員、全米商工会議所会長顧問。常に日米を往復する国際ジャーナリストである。日米関係の将来に関する著書多数。

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