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雇用・物価、景気回復で改善 有効求人倍率には大きな地域差も
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景気回復を背景に、物価と雇用をめぐる環境が一段と改善していることが、政府が27日発表した11月の主要経済指標で裏付けられた。消費者物価指数は、1.2%上昇し、有効求人倍率は6年1カ月ぶりに1倍の大台に乗せた。ただ、地方では雇用の回復が遅れるなど、雇用や所得環境の一部に弱めの動きもみられる。来年4月の消費税増税を乗り切り、本格的な景気回復につなげるには課題も多い。
総務省が27日発表した11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比1.2%上昇し、6カ月連続のプラスだった。伸び率は前月から0.3ポイント拡大し、2008年10月(1.9%)以来、5年1カ月ぶりの大きさ。
円安に伴う灯油や電気代などエネルギー価格の上昇の影響が大きいが、テレビやノートパソコン価格も上昇するなど値上がり品目の裾野は広がっている。
食料とエネルギーを除く指数でみても0.6%のプラス。農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「円安による輸入価格の上昇以外にも、景気回復を背景とした物価上昇が明確になりつつある」と指摘する。
景気回復を受け、雇用環境も改善しつつある。厚生労働省が発表した11月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.00倍となり、2カ月連続で改善した。有効求人倍率の1倍は、求人件数が求職者数に届いたことを意味する。公共工事が多かった建設業や自動車を中心に業績が回復している製造業などで求人が増加した。
総務省が発表した労働力調査(季節調整値)によると、全国の11月の完全失業率は4.0%。求人の増加を受け、労働市場に参入する人が増えているため前月比で率は横ばいだったが、完全失業者は5万人減の261万人だった。
ただ、有効求人倍率は地域差が大きい。自動車など輸出産業が集積し円安の効果を受けている東海が1.22倍、復興需要がある東北も1.08倍と全国平均を上回るのに対し、九州(0.80倍)や北海道(0.83倍)などは低迷している。
また求人は非正規雇用が中心で、正社員の求人倍率は0.63倍にとどまる。
景気回復で所得環境も改善しつつあるが、基本給ではなく、賞与などで対応する企業が多い。厚生労働省が発表した11月の毎月勤労統計調査によれば、基本給や残業代、賞与などを合計した「現金給与総額」は、前年同月比0.5%増の27万6601円で、5カ月ぶりのプラスだった。
これに対し、基本給などの所定内給与は前年同月と同水準の24万2755円。前月まで17カ月連続のマイナスで、企業業績は回復基調にあるが、所定内給与の改善は遅れている。
経済指標の改善は消費税増税前の駆け込み需要の効果も大きく、消費税増税で景気回復のペースが鈍ることも予想される。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の波及が遅れる地方の雇用拡大や、来春闘での賃上げの実現といった雇用・所得環境のさらなる改善が、デフレ脱却には不可欠となる。