■本当の整理は家づくりから始まる
あなたの家は、段ボールいっぱいのリンゴが送られてきたら、どこに置きますか? あるいは、帰宅して真っ先に脱ぐコートやマフラー、これらはどこに掛けるでしょうか?
実はどちらも、玄関のそばに適当なスペースをつくっておくとスマートに収まります。しかし残念なことに、玄関脇にそのような場所を設けている家は、あまり多くないのが実情です。
もしかして、あなたの家が散らかりやすいのは、そんなところに原因があるからでは?
本書は、片づけという観点から「散らかりやすい家の建築的原因」と、片づけやすい家づくりの提案を図解しています。
「ウチも大きな収納スペースがあれば片づくのに…」。これは間違い。収納は、大きなものをまとめてつくるより、小さなものをあちこちにつくったほうが、毎日の片づけがラクになります。爪切りや耳かきは、いつも使う場所の近くに置いておいたほうが断然便利ですよね。
「窓が大きなリビングって開放感があってすてきよね…」。これもアブない。たしかに開放感は抜群ですが、大きな窓を取ることで壁の面積が小さくなれば、ソファやチェストといった家具を置く場所がなくなります。特に収納家具が置けなくなるのは、片づけにとって致命的欠陥。
人は皆、朝から晩まで折り目正しくは生きられません。それだけに、家はあらかじめ「散らかりにくい形状」でつくっておかないと、住み始めてから何かと苦労が続くのです。
「住宅の設計でいちばん大切なのは間取りではない」。これが私の持論。「片づけのツボさえ押さえておけば、あとは自由に」。本当に心地よい住まいとは、そのような発想から生まれます。いわゆるカリスマ主婦が教えてくれる片づけのテクニックも、モノを減らす生き方も、あくまで「事後的な対応」に過ぎません。本当の片づけは、家づくりの段階からすでに始まっているのです。(1470円 エクスナレッジ)
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【プロフィル】鈴木信弘
すずき・のぶひろ 建築家、神奈川大学工学部非常勤講師。幼少期は江田島、呉、青年期は横須賀で過ごす。東京工業大学工学部建築学科で助手を務め、1995年に鈴木アトリエ一級建築士事務所を開設。これまで、戸建てを中心に100件以上の住宅の設計にたずさわる。休日はレンジローバーを駆って山野を巡る行動派。60年代のアコースティックギター収集家という一面も。