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美・芸大生“専門”の就職支援サービス相次ぐ 企業が発想力に注目

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美・芸大生“専門”の就職支援サービス相次ぐ 企業が発想力に注目

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京都で行われたインターネット関連企業「ドリコム」の説明会。エム・シー・アンド・ピーによって志望度の高い学生が集められた(エム・シー・アンド・ピー提供)  美大生や芸大生などを専門に就職支援を行うサービスが相次いで登場している。技術力が高まり、商品の差別化が難しい中、新たな発想を生み出すクリエーティブ能力に企業が注目。熱意のある学生と効率良く接点を持ちたいという思いもあるようだ。(油原聡子)

 人間にしかできない

 美大生や芸大生に特化した就職支援サイト「就活美系口」を運営しているのが、エム・シー・アンド・ピー。同社は平成24年5月、関西でサービスを開始し、今年からは全国で展開している。学生がサイトに登録、同社の進路アドバイザーが学生と面談し、希望に沿う企業を紹介する。25年度は49社77人をマッチング。サイトの責任者、国田賢治さんは「美大生や芸大生は発想力やアイデアを出すのがうまい。即戦力に近い形で就職できる」。

 企業でもクリエーティブ能力を重視する動きは出ている。機械やコンピューターに代わりができる仕事は価格競争に巻き込まれる可能性がある。「これからは発想力やアイデアなど人間にしかできない仕事が重要視される」と国田さんは指摘する。

 インターネット関連企業「ドリコム」はクリエイターの採用に力を入れている。ユーザー目線で、もの作りを大切にしていきたいと考えているからだ。採用方法の一つとして、エム・シー・アンド・ピーを通じて集めた学生を対象にした説明会も実施。篠原健・デザイン部長は「美大や芸大の学生はものを作りたい、創造したいという熱意もあり、学生時代に課題を通してそういった能力を培ってきている。限られた時間の中で思いのある学生に会いたい」と話す。

 熱意ある学生を

 クリエーティブ業界専門の就職サイト「クリ博ナビ」では近年、クライアント企業が増加している。19年のサービス開始当初は新卒募集関連の企業は約30社だったが、現在は約200社まで増加。企業がクリエーティブ職以外の募集にも利用するようになった。ウェブ広告会社が営業職を募集するのに利用した例もあった。

 「そもそも業界に興味のある人が欲しい、という意図があったようです。大量応募の中で学生を絞る従来の手法より、志望度の高い人に深いアプローチがしたいようです」(担当者)

 昨年3月からサービスが始まったのが、新卒を中心にしたクリエイターの採用マッチングサイト「ViViViT」。インターネットサービスを展開するセプテーニ・ホールディングスの子会社が運営している。

 学生側は登録すると、自分のページに作品をアップできる。企業側は学生の作品を見ながら、接触したい学生を選ぶことができる。

 企業側と学生側がお互いに関心を持ち、「話したい」ボタンを押すとマッチングが成立し、やりとりができるようになる。学生側がボタンを押せるのは月5回までと制限が設けられていることから、本当に興味のある企業にだけ接触するため、志望度の高い学生と接点が持てるのが特徴だ。

 セプテーニ・ホールディングスの広報担当者は「就職活動では作品を面接に持っていったり、落ちると作品が戻ってこなかったりと学生側に負担があった。まず、ウェブ上で作品を見ることができるのは企業にとってもメリット」と話している。

 ■大学も企業と連携、即戦力に

 クリエーティブ能力のある学生に企業からの注目が集まる中、大学も企業との連携を進め、社会に出たときに即戦力となるよう指導に力を入れている。

 京都市立芸術大学(京都市西京区)の美術学部デザイン科では京都の伝統産業をはじめ、さまざまな企業と連携。昨年は、英ロンドンの企業と連携し、「カワウソ」をテーマにオリジナルキャラクターを制作、5作品が買い取られた。辰巳明久教授(ビジュアルデザイン)は「デザイナーとして巣立つ学生は企業で活躍するケースが多い。作品とは別に、社会では何が評価され、求められているのかを学生のときから学ぶのは重要」と話している。

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