【江藤詩文の世界鉄道旅】フランス国鉄TGV(2)フレンチエスプリ漂う色っぽい車内…列車に現れる“お国柄”
更新カクテルのサインに惹かれてバー車両に行ってみた。世界に名だたるワイン産地ボルドーのぶどう畑を駆け抜けるこの列車には、もちろんワインも搭載されている。いちばん安い赤ワインを注文すると「女性がひとりでワインを開けるなら、もう少し待ったほうがいいよ」。販売員はそう言う。
夕ぐれが近づき車内が赤く染まるころ、間接照明のテーブルライトがあちこちでほんのり灯り、車内のムードは夜の顔へと変わるとか。そう言われると、光沢のある紫と赤のシートの配色も、やけに色っぽく見えてくる。
その色気はドイツのICEとも日本の清潔で律儀な新幹線とも異なるし、スタイリッシュなデザインで知られる北欧ともまた違う。まったくフランスらしいとしか言いようがないのだ。私の脳裏に三たび、このことばが去来した。
「フランス人めぇ…」。
■取材協力:ボルドーワイン委員会
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。



