【江藤詩文の世界鉄道旅】インディアン・パシフィック鉄道(4)“何もない”赤い大地を…カンガルー探して右往左往
更新何もすることがない穏やかな昼下がり。キャビンでくつろぎ、車窓をぼうっと眺めていると、えっ…? 突然、窓の下に現れたのは骨。けっこう大きい動物の、まだ風化していない白い骨。
「あぁ、カンガルーですね」。乗務員のリサは、こともなげに言う。「ブッシュが増えると、カンガルーが現れるんです」。
車窓からカンガルーを見つけるのは、この旅の目標のひとつ。出現率が高いという夕暮れどきを狙って、カンガルーの姿を探す。
20両編成のインディアン・パシフィック号は、安全のために、キャビンもダイニングカーもラウンジカーも窓が開かない。唯一窓を開けられるのは、備品や乗客の預け荷物を積んだ倉庫車両だ。「倉庫に行ってくる」。そう言うと、リサもスマホを片手についてきた。生まれも育ちもアデレードの27歳。好奇心旺盛だ。
左右に開いた小窓をリサと分け合う。“何もない”と名付けられるほどの平原だから、何かにぶつかる心配はないだろうと、大きく身を乗り出す。




