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競争、ノルマはイヤ…ゆとり重視の若者 仕事選びも草食系か

ニュースカテゴリ:暮らしの仕事・キャリア

競争、ノルマはイヤ…ゆとり重視の若者 仕事選びも草食系か

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35歳以下の正社員の就職を支援している大阪わかものハローワーク=大阪市北区  景気回復に伴い人手不足が深刻になるなか、若い男性の“職業観”に異変が起きている。競争やノルマのある「正社員総合職」を敬遠し、事務作業で営業や企画など部門ごとのサポート役に徹する「正社員事務職(一般職)」を志望するといった草食系男子が増えているのだという。就職や転職先を選ぶのに「ゆとり」を重視する傾向が強まり、企業側の採用や働き方の見直しに影響しそうだ。(石川有紀)

 仕事選びも草食系?

 駅の乗降客や買い物客らでにぎわう阪急グランドビル(大阪市北区)に若者と新卒者を対象にしたハローワークがある。既卒3年までの若者を対象にする「大阪新卒応援ハローワーク」と、35歳未満を対象とする「大阪わかものハローワーク」。若手採用に熱心な企業の人事担当者を集めた面接会の風景に異変が起きている。

 「若い男性の正社員事務職志望者が増えているんです」

 ハローワークの就職支援担当者は、こう説明する。

 主に企業の部門ごとの事務作業を担当し、転居を伴う転勤がない代わりに給与が低く抑えられるのが正社員事務職だ。

 昔は、お茶くみやコピー取りといったイメージも強く、これまで女性の志望者がほとんどだった。ところが、この数年は面接会に参加する男子が増え、参加者の3割程度を占めることもあるという。

 草食系男子の事務職志望の理由は「人と関わるのが苦手で、コツコツ仕事をしたい」「ノルマや競争のある営業職は無理」など。大阪新卒応援ハローワークの統括職業指導官、大伍護さんは「事務職の中には経理事務や貿易事務など専門性の高い職種もある」としたうえで、「どう働きたいか職業観を持てない若者も多くなっている」と話す。

 若者ほど「ゆとり」重視

 就職情報サイトを運営するリクルートキャリア(東京)でも、正社員事務職を希望する男性の転職相談が増加傾向にあるという。

 同社広報の鶴巻百合子さんは「この10年ほどで『仕事もプライベートも大事にしたい』という若者が増えた。残業が少なく、休暇をきちんと取れるイメージで正社員事務職を希望しているのではないか」とみる。

 同社が8月、転職者約500人に転職理由を複数回答で調査したところ、トップは「会社の将来に不安を感じて」が44・6%だったが、2番目は「時間的・精神的なゆとりを求めて」の28・3%だった。

 年齢層別にみると転職理由に「ゆとりを求めて」と回答した割合は若い男性ほど高く、25歳までは50・0%、26~30歳が31・0%、31~35歳が27・9%。40歳以上は19・5%となっている。職業観に世代間ギャップが生まれているようだ。

 若い男性の職業観の変化に合わせて「人材確保のため企業側にも男性社員の仕事と生活の調和に配慮する意識が高まってきている」(鶴巻さん)という。

 企業も対応を

 「リーマンショック後に製造業や建設業を中心に企業が採用を絞ってきたことも影響しているのでは」

 若い男性の職業観の変化の背景について、大阪労働局の関係者は指摘する。

 リーマンショックの影響で企業の業績が軒並み悪化した。とくに建設業や製造業への影響が深刻で、製造業では工場の海外移転が進み、製造現場での働き口が激減した。平成21年、全国の15~24歳の完全失業率は前年の7・2%から9・1%に跳ね上がった。

 このころから、派遣社員や契約社員として働く道をを選ぶ男性も増加し、働き方が多様化。男性の働き方について「正社員総合職を選ぶべきだ」「製造や建築などの現場で汗水たらして働け」といった価値観も揺らいだとみられる。

 ところが昨今、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による景気回復の影響で企業が人材確保に舵を切り、一転して学生側は売り手市場になった。草食系男子の急増は企業側にも採用や働き方の見直しなどでの対応を迫っている。

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