中小賃上げ、春闘の焦点に 景気回復で深刻な人手不足
更新2016年春闘の焦点の一つが中小企業の賃上げ。景気回復に伴い中小企業の間で人手不足が深刻化、日本商工会議所が昨年8月に発表した調査でも半数の企業が「人員が不足している」と回答した。大手企業も採用に意欲的なため、人手不足感が改善に向かう可能性は低い。こうした動向を踏まえ、16年春闘では人手不足対策という観点から賃上げが中小企業に広がる可能性もある。
微細加工装置などの最先端製品を手がけるエリオニクス(東京都八王子市)は、研究開発用装置を開発する上で、優秀な人材の確保が常に求められる。岡林徹行社長は「大手並みあるいはそれ以上の待遇を意識している。16年度はかなり厳しい業績が見込まれるが、昨年並みの賃上げを実施したい」と話す。
人手不足が常態化しているのがサービス産業。グループで建物管理や福祉関連事業などを展開するアイル・コーポレーション(さいたま市浦和区)の籠島延隆社長は「経営が苦しいので賃上げを見送ると言ったら新卒採用が難しくなり、社員の質も下がってしまう。人事体系に穴を開けないためにも、ある程度の引き上げが必要」と語る。
