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中小賃上げ、春闘の焦点に 景気回復で深刻な人手不足

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中小賃上げ、春闘の焦点に 景気回復で深刻な人手不足

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 東京中小企業投資育成の望月晴文社長は「人手不足対策で賃上げに踏み切るケースが増えるだろう」と予測する。

 その背景にあるのが業績の回復だ。「中小企業の間では『アベノミクス効果の恩恵を受けているのは大手ばかり』といった不平不満があったが、ようやく効果が浸透してきた」と指摘。さらに末端へ届くことに期待を寄せる。

 ただ多くの中小・零細企業は取引先の値下げ圧力などによって、十分な収益を確保できていない。このため「足元の業況が良くないので、一律の賃上げは見送る」(都内の産業用機器メーカー社長)、「従業員の士気を落とさないためにも賃上げを行いたいが、とても実現できる状況ではない」(東京都大田区の部品メーカー)といった慎重な考えも目立つ。

 デフレから脱却し消費が本格回復するには、働き手の7割程度を占める中小企業にまで賃上げを波及させることが不可欠。このため16年春闘では、人手不足対策から賃上げが行われ、それが消費回復につながるといった好循環の実現に一歩でも近づきたいところだ。しかし、年明け以降、株式相場は不安定で世界経済の先行きにも不透明感が漂う。こうした現状を踏まえると、中小企業の賃上げを巡る動きは予断を許さない。

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