【2016春闘】経団連・工藤泰三副会長、連合・神津里季生会長に聞く
更新2016年春闘は、今月中旬に大手自動車や電機などの各労働組合が要求を提出し、本番を迎える。労使共に賃上げの必要性では一致しているが、賃金を底上げするベースアップ(ベア)をめぐっては労使の隔たりは大きい。経団連で労働政策を担当する工藤泰三副会長(日本郵船会長)と、連合の神津里季生会長がそれぞれインタビューに応じ、春闘への意気込みを語った。
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□経団連・工藤泰三副会長
■年収ベースがより現実的
--経団連として基本的な取り組みは
「業績が改善した企業は年収ベースで昨年を上回る賃金アップに取り組んでもらう。過去2年、賃上げを実現し、いい循環とするためにもモメンタムを維持しようという考えは労使双方で共有できている」
--連合はベア、経団連は年収ベースと賃上げ手法で違いがある
「経団連としてはベアを否定しているわけではない。ベアをできるところはぜひやってもらいたい。だがベアを毎年やっていくのは大変。ベースダウンはなかなかできないためで、経営者はベアに慎重だ。そのため組合側がベアを前面に出すと(交渉の)間口は狭くなる。持続性を考える上でも年収ベースでの賃上げを目指す方が現実的だ」
--連合はベアが消費拡大につながると指摘するが
「ベアが一時金よりも消費拡大につながるという調査は確認している。だが昨年、一昨年、ベアを実施したが、消費は拡大していない。社会保障などで将来の不安があってベアにしても一時金にしても、まずは貯蓄しようという判断をしているのが実態だ」
--中小企業の底上げや非正規社員の正規化は
「円安メリットを受ける自動車などで、中堅・中小企業に対する協力などを働き掛けているが、これは長続きしない。必要なのは生産性を引き上げることだ。大手と中小が一緒に改善に取り組み、効果を折半するといったことが必要。非正規社員については、不本意ながら非正規となった方々の正規雇用化を進めていく」
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