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【IT風土記】和歌山発、始動した「ふるさとテレワーク」、白浜プロジェクトの成果と課題

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 情報通信技術(ICT)を使って、育児や介護をしながら自宅で働ける「テレワーク」をさらに進め、働く場を都心ではなく地方に移して定住を促す働き方を「ふるさとテレワーク」と呼ぶ。総務省の実証事業の舞台となった和歌山県白浜町では、米国系IT企業の進出をきっかけに、新しい働き方の理想像が見えてきた。(早坂礼子)

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 和歌山県を代表する観光地・白浜の空の玄関である南紀白浜空港から車でわずか3分ほど。企業誘致の中核施設である「白浜町ITビジネスオフィス」は、窓から海が見渡せる小高い丘の上に立つ2階建ての建物で、白い壁のすっきりしたデザインが印象的だ。もとは民間企業の保養所だったが、白浜町が2003年に買い上げた。バブル崩壊後の雇用減と高齢化に伴う人口減を食い止めようと、賃貸オフィスに改修して企業を誘致し、定住者を増やし地元の就職先を少しでも増やそうという狙いだ。

 「ふるさとテレワーク」は、ICTで距離や時間を克服し、いつでもどこでも働ける環境を整えるために、総務省が音頭を取って始めた事業だ。14年度の補正予算事業として全国15カ所が実証事業モデル地域に選ばれた。白浜では、NECの関係会社で、システムインテグレーションを手掛けるNECソリューションイノベータ(東京)を代表とする官民13団体が共同で「観光リゾートモデル」の事業に着手。東京に本社を置くIT系企業の担当者が移住して、本社と同じ業務を行いその効果を検証している。国の実証事業は今春終了したが、関係者は引き続き事業を行っている。

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  • セールスフォース・ドットコムの吉野隆生さん
  • ふるさとテレワークを担当する総務省の今川拓郎情報流通振興課長

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