ローカリゼーションマップ

思わず「これは面白い!」…“理系のイメージ”覆した東工大生たち

安西洋之

 未来社会DESIGN機構のメンバーはプロジェクト趣旨説明において、この組織は東工大の為ではなく社会に開かれたものである、ということを何度か強調していた。「学外の知見を大学の利益のためのみに使うのか」との批判を避けるための予防線だろう。

 しかし、ワークショップに外部の人間として参加しながら心に浮かんできたのは、そういう予防線のセリフが如何にも空虚にみえる風景だ。

 言うまでもなく、いずれにしても批判が生じる、という事態の到来ではない。そんな予防線など取り越し苦労にしか見えない、という意味だ。

 他方、「そうは言うものの、これは楽観的な感想に過ぎるだろうか」との思いもよぎる。学生も社会に出て「起こりうる社会問題を想定できないまま、世に技術を出してしまっても自己保身に走らない」とは断言できない。

 自分自身を律する意識の礎をどれだけつくっていけるか。あるいは、どんな状況に陥っても「礎を踏み外さない」耐性をどうもつか。周囲から何度、揺さぶりをかけられても、「いや、やはりここは譲れません」と自身の美意識からはっきり言えるか…という疑問は残る。

 およそ「ボーダー自体を積極的に消し去る」と称賛をもって迎えられやすい。偏見や先入観からの脱却である。しかし「ボーダーとはネガティブな存在である」と一方的に思い込むのも、ボーダーの穴に嵌りこんだ証である。

 「ボーダーを自由に使いこなす人」が増えるといいな、と若い世代に期待したい。(安西洋之)

【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)

安西洋之(あんざい ひろゆき)上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『デザインの次に来るもの』『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』、共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)フェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。

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