鉄道業界インサイド
オリパラ準備、JR×相鉄の直通運転、東急分社化…19年度の注目点は?
枝久保達也
東急が進める大改革
鉄道経営のあり方も変わりつつある。日本を代表する私鉄のひとつである東急が、今年9月、大きな変革に挑む。鉄道事業を分社化して「東急電鉄株式会社」を設立し、現在の「東京急行電鉄株式会社」を「東急株式会社」に改称するというのだ。
鉄道業界では既に、阪急電鉄・阪神電鉄、近畿日本鉄道、京阪電鉄、西武鉄道、相鉄が、グループの株式を所有する純粋持株会社としてのホールディングスを設立しており、鉄道事業の分社化自体は目新しいものではない。東急は従来から事業持株会社として、本体が鉄道や不動産事業を、東急バス、東急百貨店、東急ストア、東急ホテルなどグループ会社が各事業を推進してきたが、鉄道事業も他部門と同様に専業の事業会社に位置付けられることになる。
東急グループの売上は約1.1兆円。セグメント別に見ると、交通事業が約2100億円、不動産事業が約1800億円、生活サービス事業が約7000億円、ホテル・リゾート事業が約1000億円だ。事業の中核であり、会社のルーツである鉄道事業を分社化するといっても、東急グループにおける鉄道事業の位置づけが変わるわけではなく、あくまでも鉄道事業の意志決定のスピード感を上げることが狙いだという。
鉄道業界はポスト2020年に向けて動き始めている。日本の曲がり角は、日本の風景を作り上げてきた鉄道会社の曲がり角でもある。
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