ゆうゆうＬｉｆｅ
家族がいてもいなくても（５９６） 運転のない“おでかけ”
この日の実験コースは、地元の観光地の２０万本のつつじの群生地や国民休暇村での日帰り温泉。さらにステーキハウスで美味しいランチ、といった場所。
私には久々の運転フリーのお出掛けだったので、調子にのって昼からレストランで生ビールも飲み、ほろ酔い気分で上機嫌で帰ってきた。
那須に来て、美しい自然の中をドライブする喜びを知ってしまった私としては、ここで運転をやめるのはつらい、と思っていた。でも、こういった交通システムがあれば、お出掛け可能。高齢者同士の交流もでき、みんなで元気を支え合える。
なんてことを思い調べてみたら、なんとなんと、私が住む町の高齢化率は、来年には４０％を超えると推定されている。このリアルな数字を目の当たりにしてしばし呆然（ほうぜん）。昼からビールを飲んで遊んでいるだけじゃあ済まないのかもしれない。
地方に移住してのどかな余生のつもりでいたけれど、実際に暮らしてみると、この地でどう生きるべきか、とあらためて問われる。都会にいては、実感できないもの、見えないものが、ここにはある。（ノンフィクション作家・久田恵）