受験指導の現場から

「数学が得意」だったら理工系向き? 文系人間こそ知っておきたい

吉田克己
吉田克己

 ビジネスマンこそ数学が必要だ

 といった具合に、世の中には「数学の素養がある文系学生」は少なくない。理科系(技術系)人材の不足が叫ばれて久しいが、理科系の学者や研究者、技術開発者は相対的には少数精鋭でよいかもしれない。

 むしろ、経済活動の現場にいる経営者やビジネスマンの中にこそ、統計センスを備え、IoT(モノのインターネット)やAI、ビッグデータ、フィンテック等々を理解し、活用できる人材がより求められているはずだ。

 かのイギリスの生物学者、ジョン・メイナード・スミスは、物理学か生物学か、研究者としてどちらの道を往くか思案していたとき、恩師に「数学が得意なのであれば、これからの時代、生物学に進むとよい」とアドバイスを受けたという。進化生物学者の先達であり、第一人者として知られるスミスは、ゲーム理論などの数学的理論を生物学に導入した。

 「数学が得意」なら最先端文系学部・学科を目指すのは、今や合理的な選択なのではないだろうか。

吉田克己(よしだ・かつみ)
吉田克己(よしだ・かつみ)
京都大学工学部卒。株式会社リクルートを経て2002年3月に独立。産業能率大学通信講座「『週刊ダイヤモンド』でビジネストレンドを読む」(小論文)講師、近畿大学工学部非常勤講師。日頃は小~高校生の受験指導(理数系科目)に携わっている。SankeiBiz、ダイヤモンド・オンラインで記事の企画編集・執筆に携わるほか、各種活字メディアの編集・制作ディレクターを務める。編・著書に『三国志で学ぶランチェスターの法則』『シェールガス革命とは何か』『元素変換現代版<錬金術>のフロンティア』ほか。

受験指導の現場から】は、吉田克己さんが教育に関する様々な情報を、日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、受験生予備軍をもつ家庭を応援する連載コラムです。更新は原則第1水曜日。アーカイブはこちら

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