ビジネスマンこそ数学が必要だ
といった具合に、世の中には「数学の素養がある文系学生」は少なくない。理科系(技術系)人材の不足が叫ばれて久しいが、理科系の学者や研究者、技術開発者は相対的には少数精鋭でよいかもしれない。
むしろ、経済活動の現場にいる経営者やビジネスマンの中にこそ、統計センスを備え、IoT(モノのインターネット)やAI、ビッグデータ、フィンテック等々を理解し、活用できる人材がより求められているはずだ。
かのイギリスの生物学者、ジョン・メイナード・スミスは、物理学か生物学か、研究者としてどちらの道を往くか思案していたとき、恩師に「数学が得意なのであれば、これからの時代、生物学に進むとよい」とアドバイスを受けたという。進化生物学者の先達であり、第一人者として知られるスミスは、ゲーム理論などの数学的理論を生物学に導入した。
「数学が得意」なら最先端文系学部・学科を目指すのは、今や合理的な選択なのではないだろうか。
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【受験指導の現場から】は、吉田克己さんが教育に関する様々な情報を、日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、受験生予備軍をもつ家庭を応援する連載コラムです。更新は原則第1水曜日。アーカイブはこちら。