フィンテック群雄割拠~潮流を読む

フィンテックで地銀は生まれ変われるか?(前編) ビッグデータを活用

甲斐真一郎
甲斐真一郎

 そもそも地銀とは?

こんな風に地銀を巡る暗い状況を、見聞きした人は少なくないはずです。でも、地方銀行が、一体どんな役割を担い、どんな風にビジネスを成り立たせてきていたのか。この点については、多くの人がぼんやりと疑問に思っているのかもしれません。

 地銀、つまり地方銀行は、私たちが生活で利用する普通銀行の1カテゴリーです。都市銀行は、東京や大阪などの大都市に本店がある一方、地方銀行は、各都道府県に本店があり、各地方を中心に展開している銀行のことを指します。実は、都市銀行は、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行の4行だけです。全国地方銀行協会によれば、現在の地銀の数は64行に上るそうです。ちなみにこの64行は「第一地方銀行」と呼ばれることがあります。それは「第二地方銀行」というカテゴリーもあるからです。第二地銀は足元で全39行ですので、第一地銀と第二地銀を合わせると、日本には103行もの地銀があるということになります。1つの都道府県に2行以上ある計算になりますね。(2018年11月時点)

 地銀が地域金融の担い手であるということは、つまり各地域に巡らせた拠点を通じて、個人や企業の資金ニーズに合わせた金融サービスを提供しているということになります。でも、この説明だけだと、どんな風に稼いでいるビジネスモデルなのか、イメージできませんよね。

 地銀のビジネスのキモは、「貸出業務」にあります。言い換えれば、預金を集めて、それらのお金に金利をつけて地域の企業に融資をしたり、地元に住む個人に対して住宅ローンなどの形で貸し出しをして、戻ってきたお金に貸し出したときより低い金利をつけて預金者に返すビジネスなのです。つまり、「貸出金利」と「預金金利」の利ざやで利益をあげていると言えます。これは一般的な銀行のビジネスモデルですね。都市銀行と異なる点は、地域の人や企業を主対象にしてビジネスを展開をしているところです。

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