日本の議論

参院選の年金論争 「最低保障の強化が必要」、「経済成長で自助環境を」

 --年金制度を維持するには増税が避けられない

 「そんなことはない。政策は順番が大事で、やるべきことをやらず先に増税だけをやってはだめだ。政府は国民が個人年金など自助に取り組める環境づくりを進めるため、国民の所得を増やし、蓄えができるような経済状況をつくっていかなければならない。規制を緩和して生産性を高め、労働市場を改革し、経済成長を高める必要がある」

 --これから必要な改革は

 「現在の年金制度は昭和36年に始まった制度だ。当時の日本人男性の平均寿命は60代半ばだった。今は男性が81歳、女性が87歳になっており、現状に合わせた制度改革は最低限必要だ。年金が必要ではない高額所得者に対する年金の支給制限などの検討も必要ではないか。また、年金問題を解決する究極のセーフティーネットとして政府が一定額の現金を無条件で支給する『ベーシックインカム』の導入についても議論していくべきだ」

(永原慎吾)

 たけなか・へいぞう 昭和26年、和歌山県生まれ。慶大教授などを経て平成13年、小泉純一郎内閣で経済財政政策担当相として初入閣し、総務相などを歴任した。現在は日本経済研究センター研究顧問なども務める。

 【記者の目】

 参院選の期間中、世論調査で有権者に重視する政策や争点を聞いたところ、「年金など社会保障」が40.6%で最も多かった。確かに与野党とも公約や演説で年金に言及していた。

 だが、各党や候補者は国民の期待に応え、老後の不安を解消する選択肢を提示できていたのだろうか。参院選の投票率が過去最低だった平成7年以来24年ぶりに5割を切ったことを考えると、そうは言えないと感じる。

 世論調査で10月の消費税率10%への引き上げへの反対が過半数を占める中、負担増を伴う年金の制度改正には政治的リスクがつきまとう。安倍晋三首相は24年12月の第2次内閣発足から安全保障関連法や働き方改革などを断行してきた。実績を残してきた長期政権だからこそ、年金をはじめとする骨太の社会保障制度改革に取り組む責任がある。(田村龍彦)

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