余計かもしれないが、結婚に迷う男女から意見を聞かれれば、理念が一致するとか、人生の目標が同じとか話しているうちは、結婚を勧めない。これは前述した好き嫌いの問題と同じで、時間の経過と共にころころ変わる。結婚の前提にはならない。この相手と一緒にずっといたいと動物的に思えるかどうかだけだ。相手の不在にどれだけ自分の心が乱れるか、である。
個別のトピックについてはこんな具合であるが、とても基本的なことを言うなら、以下になる。
自分が心の落ち着きを失うようなことは、やらないと決めておくことだ。生理的にどうも受け入れられない、自分の倫理的な拠り所を他人に明け渡さなくてはいけない、こうした点を譲歩しない。「自分の心に問いなさい」という表現があるが、あれである。
この自分の「心の範囲」については、常に意識的であった方が良い。その範囲に踏み込んでこない選択は、その時々で決めたらいい、としか言いようがない。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。