シビックタイプRを超えたメガーヌ
その後、スバル・インプレッサが8分12秒75を記録して、2リッター4WDマシン最速の称号を手にした。日本のクルマが、世界的レベルに到達したことを祝うがごとき意味が込められていた。
その後、技術の進歩に合わせてマシンの性能は飛躍的に高まった。ホンダ・シビックタイプRが、「7分43秒8」を記録したのはつい最近のことだ。FF最速記録である。その余韻に浸る間もなく、記録は更新された。「7分40秒1」。それがメガーヌだったというわけである。
さすがに最速マシンは刺激的なハンドリングを披露した。切れ味は抜群である。だがしかし、レーシングマシン然としたハード系かといえば答えはノーだ。路面のアンジュレーションには寛容だし、ドライバーのコントロールに忠実に従う。パワーはターボらしいドッカンな特性だが、レスポンスは鋭い。
それすなわち、ニュルブルクリンクの特性を証明するかのようだ。ただやみくもに切り味が鋭いだけでなく、最終的には安定感が高いのである。そのバランスが見事に整っていた。ニュルブルクリンク最速記録は、しばらく破られそうにない。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。