試乗スケッチ

世界一過酷なコースを最速攻略 ルノー「メガーヌR.S.」は一体何が凄いのか

木下隆之
木下隆之

 シビックタイプRを超えたメガーヌ

 その後、スバル・インプレッサが8分12秒75を記録して、2リッター4WDマシン最速の称号を手にした。日本のクルマが、世界的レベルに到達したことを祝うがごとき意味が込められていた。

 その後、技術の進歩に合わせてマシンの性能は飛躍的に高まった。ホンダ・シビックタイプRが、「7分43秒8」を記録したのはつい最近のことだ。FF最速記録である。その余韻に浸る間もなく、記録は更新された。「7分40秒1」。それがメガーヌだったというわけである。

 さすがに最速マシンは刺激的なハンドリングを披露した。切れ味は抜群である。だがしかし、レーシングマシン然としたハード系かといえば答えはノーだ。路面のアンジュレーションには寛容だし、ドライバーのコントロールに忠実に従う。パワーはターボらしいドッカンな特性だが、レスポンスは鋭い。

 それすなわち、ニュルブルクリンクの特性を証明するかのようだ。ただやみくもに切り味が鋭いだけでなく、最終的には安定感が高いのである。そのバランスが見事に整っていた。ニュルブルクリンク最速記録は、しばらく破られそうにない。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。

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