余談だが「離婚はするけど愛してるよ」「愛し合うことは、時に距離を置く勇気を持つこと」などというメッセージの入ったカードの存在に、円満離婚の多いオランダらしいなあと文化差を感じてしまった。
既製品であることの意義
なんでもパーソナライズできるこのご時世、ここで紹介したようなカードはアイディアさえあれば誰だってオリジナルで作れる。しかし、既製品であることの意義ってあると思うのだ。お祝いカードなら既製品なのに自分に細かくピッタリなカードを見て「まるで私のこと! こんなカード売ってるんだ!」と嬉しくなるし、逆に悲しい状況で受け取るカードなら既製品のカードの向こうに同じような境遇の人の存在が透けて見えて、少しだけ慰めになることだってあるだろう。
そういう意味で、オランダで見ていいなと思ったもう一つのカードは、がんと闘病中の人に送る「がん治療がんばって」カード各種。「最後の抗がん剤まであと〇回!」「あなたならがんに勝てる!」などと励ましのメッセージが入った既製品のカードをもらえば、「こんなカードが流通するくらいがんと闘っている人はたくさんいるんだ」とちょっと心強く思わないだろうか。
どんなシチュエーションでも、どんな相手でもピッタリなものが見つかる欧米の既成グリーティングカード。このどんなニッチなニーズもカバーする超絶バラエティ、日本でもぜひカードや書籍、パーティプランなどで打ち出してみてほしい。(ステレンフェルト幸子/5時から作家塾(R))