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「親と会話が噛み合わない?まさか認知症?」となる前にできること(後編)

高橋成壽
高橋成壽

 子が契約者になることのメリットは、住所変更、保険金請求など保険全般の手続きがスムーズになることです。基本的に契約者が保険契約の権利を有しており、契約内容の照会などは契約者本人しかできません。その本人が認知症では照会自体ができないことになります。最近は、保険会社に緊急連絡先など家族の情報を登録することで、登録された家族が最低限の手続きを行うこともできるようになってきましたが、それでもできる手続きに限度があります。保険会社にあれこれ言われるのが嫌な方は、ご自身が契約者になって、親に保険をかけるという考えが合っているでしょう。

 実家に帰って、親との会話が噛み合わず認知症の疑いが出てきたら、認知症保険を検討するのもいいでしょう。高齢期の保険加入の弱点は、保険料が高くなることと、体が健康ではない可能性が高いため、加入自体を保険会社から断られる可能性が高くなることです。

 特に、自宅と実家が離れているようなケースでは、親の世話のたびに安くない旅費がかかります。1度や2度であればいいのですが、数年にわたり毎月実家に帰るようなことを考えると、支出総額は侮れません。保険の場合は、1回だけでも保険金・給付金が支払われますから、少し安心していただけると思います。

 なお、高齢者の保険加入の際は、家族の同席や保険会社からの調査対象となることが一般的ですので、ご家族が認知症の可能性あり!と判断したタイミングでは遅いかもしれません。

 すでに、親が保険に加入している場合は、今後の手続きを見据えて名義を子に移しておくという方法もあります。住所変更、死亡時の請求や解約など、諸々の手続きが元気な子供の手に移ります。ただし、解約返戻金などのあるタイプの名義変更は税金の問題をはらんできますので、保険会社や保険代理店、税務署などへの相談を経て実施するのが安全です。

 ちなみに、高齢期の保険契約を銀行で締結すると、親が亡くなって死亡保険金請求のタイミングで、死亡の事実が銀行側に伝わるため、銀行口座凍結の恐れがあります。高齢者ほど銀行が安心とおっしゃる方が多いのですが、保険は保険会社か保険代理店から加入された方が使い勝手がいいと筆者は考えます。

 なお、銀行に高額の入金があると、あれこれ理由をつけて銀行から電話がかかってきます。電話で保険金であることを伝えるだけで足りますので、店舗に呼び出されたり自宅に訪問されたりしますが、金融商品を売りつけられるだけですので、会わない方がいいでしょう。

高橋成壽(たかはし・なるひさ)
高橋成壽(たかはし・なるひさ) ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
寿FPコンサルティング株式会社代表取締役
1978年生まれ。神奈川県出身。慶応義塾大学総合政策学部卒。金融業界での実務経験を経て2007年にFP会社「寿コンサルティング」を設立。顧客は上場企業の経営者からシングルマザーまで幅広い。専門家ネットワークを活用し、お金に困らない仕組みづくりと豊かな人生設計の提供に励む。著書に「ダンナの遺産を子どもに相続させないで」(廣済堂出版)。無料のFP相談を提供する「ライフプランの窓口」では事務局を務める。

【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら

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