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人種、国籍に心ない言動「レイシャルハラスメント」が企業で課題に
外国人労働者の受け入れが拡大する中、人種や民族、国籍を理由とした配慮を欠く言動「レイシャルハラスメント」への対応が企業で課題となっている。レイハラは欧米ではよく知られるが、日本では認知度が低く、法令に基づく規定や罰則もない。当事者からは対策を求める声が上がる。
職場や取引先で…
「なんで英語しゃべられへんの?」「ハーフなのに運動神経が悪くて、もったいない」。米国人の父と日本人の母を持つ大阪市立大研究員のケイン樹里安さん(30)は学生時代、クラスメートから投げ掛けられる言葉に思い悩んだ。
名古屋市で生まれ、福岡県と大阪府で育った。ハーフや外国にルーツを持つ人々の日常を研究テーマにしている。不特定多数への憎悪をあおるヘイトスピーチと異なり、レイハラは何げない言動も相手を傷つける。「概念の周知や法律の整備、各企業の就業規則などにペナルティーを盛り込むことが必要ではないか」とケインさん。
法務省によると、平成30年末時点で日本に住む在留外国人は約273万人。前年に比べ約17万人増え、過去最多となった。日本国籍を取得した人も過去30年で30万人を超える。
在留外国人を対象に28年に実施された法務省の委託調査では、過去5年間に差別的なことを言われた経験が「よくある」「たまにある」と回答した人が30%いた。相手は「見知らぬ人」が53%で最多。「職場の上司や同僚・部下、取引先」も38%を占めた。
イメージダウンに
理解を広げようと、大阪市のNPO法人「多民族共生人権教育センター」は、啓発の冊子や動画を作成、実態調査もしてきた。セクハラやパワハラに比べ対策が遅れているため、今年6月施行の女性活躍・ハラスメント規制法に基づく指針にレイハラも加えるよう、厚生労働省に求めている。