一方、高校生以下の子どもを複数抱える家庭の母親、とくに父親がテレワークで一日中自宅にいる家庭の母親もメンタル的にしんどい。筆者は、集団授業(講義)だけでなく、家庭訪問型の個別指導も数件、請け負っているのであるが、このケースに当てはまるお母さんは、たしかに消耗している感がある。赤の他人でもそれとなく分かるくらいであるから、夫との間、子どもとの間だと、気持ちを安定させるのにかなりの気苦労をされていることだろう。父親が普段から家庭内のことに無関心で、テレワーク(仕事)と称して、自室に篭ってしまっているようだとなおさらである。
家庭内自習の限界
そして、そういったお母さん方からほぼ間違いなく聞かされるのは、「うちの子、家ではちっとも勉強しなくって…」「勉強するように言っても言うことを聞かないし、しつこく言うと喧嘩になるし…」といった話だ。
通常の状況であれば、「1日に1回、塾の自習室に行って(場所を変えて)その時間だけ集中して勉強する(疑問点は質問して解決して帰る)」ことを勧めるのであるが(実際、自宅を出て別の場所に移ると、その場所では集中できるという生徒は少なくない)、現下の状況では、それもできなくなっている。ほとんどの塾は正社員だけの出社となっていて、それ以外の者の出入りは極力抑えているからだ。
新型コロナ禍下の即席「寺子屋」
ならば、ということでもないが、筆者は4月の中旬から以下の試みを行っている。
東京都の自粛要請を請けて、いきつけの飲食店が営業開始時間を17時から15時からに繰り上げることになった。そのタイミングで店主から、「営業開始時間に合わせて、前に言っていた“寺子屋”やってみる?」と持ち掛けられた。
じつは、新型コロナの影響が表面化する何カ月か前に、「営業開始時間の直前に、週に2~3回、奥のテーブル席で近所の小・中学生の勉強の面倒を見るよ。常連さんの子どもとか」と、筆者から水を向けたことが事の発端である。
目論見としては、(1)子どもが勉強に集中する時間をつくる、(2)その時間をお母さんの休憩時間にする、(3)子どもの親の来店頻度が上がることでお店の売上が少し増える、(4)筆者自身も最低時給くらいにはなる、という四方よしを狙ってのことだ。