夏休みは受験の「天王山」 学習塾、夏期講習どうする?
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校の長期化で、授業の遅れを取り戻すため、地域によっては夏休みが大幅に短縮されることになった。これに伴い、進学塾が夏期講習の計画を立てられず、不安を抱く受験生や保護者もいる。夏休みは受験の「天王山」とも呼ばれる大切な時期。塾側も日程の調整やカリキュラムの練り直しなど対応に追われている。(藤井沙織)
「早く決めて」
「感染拡大防止で塾も長く休みになり、子供のモチベーションが下がってしまった。夏休みに取り戻したいのだけれど…」
小学6年の長女(11)の中学受験を控える神戸市の会社員の女性(48)は、困り果てた様子でそう話す。通っていた塾は4月から休みになり、配信される授業動画での家庭学習に。「他の子供も同じ環境だが、うちだけ遅れていないかと不安になる。夏期講習の連絡もまだなく、志望校を変える必要もあるのではと考えてしまう」
例年ならこの時期は進学塾の夏期講習の講師陣などが決まり、各家庭への案内や宣伝も始まっているが、新型コロナの影響でほとんどの進学塾が対応を決めかねている。多くの自治体が夏休みの短縮を検討しながらも、具体的な期間を決めていないためだ。
関西や中国地方で教室を展開する日能研関西(本部・神戸市)の担当者は「今は各自治体の結論待ち」としたうえで、「受験生については、例年は夏期講習が休みのお盆などを活用して授業をするしかない。家庭でも頑張ってもらえる工夫をし、学力をつける方法を考えたい」と話す。
関西を中心に教室を展開する浜学園(同・兵庫県西宮市)も、通塾圏内にある自治体の多くがお盆を中心に2週間程度の夏休みを設けると見込んで、夏期講習の日程や内容を検討中。例年授業は午後のみだが、今年は午前も実施することでカリキュラム消化を目指す。「単にカリキュラムを終えるだけでなく、予習用の授業動画を配信するなど学習内容を定着させる工夫もする」と担当者。ただ、想定より夏休みが短縮される事態となれば、再び計画を練り直さなければならないという。
一方、受験生の在住地域が比較的限定される中学・高校受験と異なり、全国から受験生が集まる大学受験で懸念されるのが夏休み期間の地域格差だ。休校期間は地域の感染状況によって異なるため、緊急事態宣言が継続中の関西や首都圏よりも長い夏休みが予想される地域もある。