教育・子育て

大学入試の情報提供新システム、運営許可取り消しで調整 今年度導入見送りへ

 文部科学省が今年度実施の大学入試から本格導入を予定していた、受験生の部活動実績などの情報提供システムについて、参加大学が少数にとどまっているなどとして、同省は22日、システムを運営する一般社団法人「教育情報管理機構」への許可を取り消す方向で調整していることを明らかにした。今年度のシステム導入は見送られるとみられる。既に約18万人が利用していることなどから影響が懸念される。

 システムは、高校生の部活動などの実績が記録された電子データを、大学が入試の合否判定の参考として活用できる仕組みで、名称は「JAPAN e-Portfolio(イーポートフォリオ)」。同日の衆院文科委員会で萩生田光一文科相が「運営許可を取り消す方向で、事業停止に伴う必要な対応について調整している」と述べた。

 昨年に導入見送りが決まった大学入学共通テストの英語民間検定試験と国語・数学記述式問題に続き、大学入試改革の目玉が頓挫した格好だ。

 総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)では、部活動やボランティアの実績、留学経験などを合否判定の参考にすることが多い。そうした情報を生徒は書類で大学に提出するが、電子化により双方の負担を軽減させるのが導入の狙いだった。

 ただ、現時点で新システムへの参加大学は30校程度にとどまり、大学からの会費が運営費となる予定だっただけに「機構の財務状況を不安視する意見が多かった」(萩生田文科相)という。従来通り書類による提出も行われるため、同省は「ただちに支障が出るわけではない」と説明。だが、既に新システム上に登録された生徒の個人データの取り扱いなど課題も残されている。

 産経新聞の取材に、都内の私立大担当者は「多人数が登録する中、記録された情報の信頼性や管理に不安がある」と参加見送りの理由を説明した。同機構は「現段階でコメントができる状況にない」としている。

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