子宮体がんの疑い、今後どうすれば…
Q 組織診では何が分かるのですか。
A この組織診では、子宮内膜腺管の構造(単純型か複雑型か)、腺管細胞の異型度(軽いか強いか)を評価して病理診断します。
仮に、腺管構造が複雑型で、細胞異型が強いと、子宮内膜複雑型異型増殖症と診断され、これは子宮体がん0期に位置づけられます。また、腺管細胞が明らかにがん細胞であれば、子宮内膜がん(子宮体がん)と診断されます。子宮内膜複雑型異型増殖症と子宮内膜がんの病理診断は必ずしも容易ではなく、子宮全摘出後に初めて確定できることも少なくありません。
Q 診断によって、どのような治療が想定されますか。
A もし、腺管構造が単純型であればホルモン療法で治癒することも多いです。しかし、子宮内膜複雑型異型増殖症であれば、子宮全摘出となり、閉経後の方であれば両側の卵巣、卵管の同時切除も勧めます。また、子宮内膜がんであれば、子宮、両側の卵巣、卵管切除に加えて、骨盤リンパ節郭(かく)清(せい)術(切除)も勧めます。
このように組織診断は重要な検査プロセスですので、しっかりした施設で早急に受けて、病理診断を確定することが望ましいです。
(構成 大家俊夫)
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回答は、がん研有明病院の瀧澤憲医師(婦人科前部長)が担当しました。
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ミニ解説
今回の相談者は「子宮内膜の肥(ひ)厚(こう)が9ミリほどある」という診断も受けている。
瀧澤医師は「閉経後でしたら、厚いといえます。内膜が厚くなると、その膜が破れ、不正出血やおりものにつながる可能性があります」と指摘する。
そのうえで、「栄養補給などのサプリメントを飲むと、内膜が厚くなることがあります。これは女性ホルモンが関係しています。サプリの中には微量の女性ホルモンを含有している商品があり、肥厚が心配な人は購入前にチェックが必要です」と助言する。