ついつい目で追ってしまう理由
先代アクセラはエアコン操作パネルの配置場所が低すぎたため、「シフトレバーが邪魔をして使いづらい」と指摘したことがあったが、MAZDA3はセンタークラスターの上段に設置することで使い勝手が格段に上がった。また、操作頻度の低い「シートヒーター」や「ハンドルヒーター」を下段に、運転中に触れる回数の多いエアコン系のスイッチを上段に配置換えしてはどうか、とも記したが、こちらもそのように改善されていた。きっと同様の意見が多く寄せられたのだろうと推測する。ワイドになった8.8インチのセンターディスプレーも見やすくなった。
居住性だが、前席はスペースに余裕があり非常に快適。シートは腰周辺のサポート性が高く、ヘルニア持ちの筆者にはありがたかった。後席も足元・頭上にそれなりのスペースを確保しているが、リヤピラーをキャビン側(内側)に寝かせた形状のため、頭を少しでも外側に傾けるとピラーに触れてしまう。車体を真後ろから見ると、非常に分かりやすい台形を描いている。デザイン性を優先したボディ形状が、後席乗員にやや窮屈な思いをさせてしまう。乗降時に頭をぶつけやすいというデメリットもあった。
また、後席のドアを閉めたときに、Cピラー側の丸みを帯びた部分が、まるで団扇を仰ぐかのように一瞬バタバタとする。一度ドアを閉めた際に安っぽい感触があったため、続けて2~3度、確認のため開け閉めをしたほどだ。ドア形状を考えると致し方ないのかもしれないが、MAZDA3の中で唯一、安普請に感じた部分だ。試乗後に、どこかのメディアで全く同じ指摘をしているレビューを見かけたということは、やはり可能であれば改善すべきだろう。
いくつか気になった点も指摘したが、見る・座るだけで、ここまで強く感情を刺激してくるクルマはなかなかないだろう。独特のオーラは見る者の関心を一瞬で惹き付ける。ひとたび試乗すれば「こんなにカッコよくてお洒落なクルマを所有したいなぁ」と素直に思わせる。マツダの狙い通り、クルマが生命感を匂わせたとき、人は自然と感情的なつながりを感じてしまうようだ。
そして、写真を撮りながら気づいたことがある。ボディ表面に映り込む光と影の移ろいが、筋肉質な動物が手足を動かして走るかのような躍動感を与えているのだ。光の反射具合で様々な表情を連続的に見せるからこそ、片時も目が離せないクルマなのだろう。MAZDA3を見かけるたびに目で追っていた理由は、そこにあるような気がした。そして自ら運転してみると、今度は歩行者や周囲のドライバーから目で追われていることを、ふとした時に実感するのだ。
【乗るログ】(※旧「試乗インプレ」)は、編集部のクルマ好き記者たちが国内外の注目車種を試乗する連載コラムです。更新は原則隔週土曜日。アーカイブはこちら
■主なスペック(ディーゼルXD Burgundy Selection)
全長×全幅×全高:4460×1795×1440mm
ホイールベース:2725mm
車両重量:1410kg
エンジン:水冷直列4気筒DOHC直噴ターボ
総排気量:1.8L
最高出力:85kW(116ps)/4000rpm
最大トルク:270Nm(27.5kgm)/1600-2600rpm
トランスミッション:6AT
駆動方式:前輪駆動
タイヤサイズ:215/45R18
定員:5名
燃料タンク容量:51L
燃料消費率(WLTCモード):19.8km/L
ステアリング:右
車両本体価格:304万円(税込)