鉄道業界インサイド

車齢40年の車両を改造…「WEST EXPRESS銀河」に込められた熱い思い

枝久保達也
枝久保達也

「夜行」開拓の余地はあるか

 特に注目されたのが、横になって寝ることができる「ノビノビ座席」の存在だ。かつて東京~大阪間を結んだ夜行急行列車「銀河」の名前を受け継いでいることから、新たな「夜行列車」の誕生として取り上げられることも多かったが、JR西日本によれば「銀河」の名称は西日本エリアを宇宙に、各地の魅力的な地域を星になぞらえ、それらの地域を結ぶ列車という意味を込めたとのこと。

 実際、山陰方面へは、下り列車は午後9時15分に京都駅を出発し、出雲市駅に午前9時31分に到着。上り列車は午後4時に出雲市駅を出発し、午前6時12分に大阪駅に到着する「夜行列車」となったが、山陽方面へは、下り列車は午前7時20分に大阪駅を出発し、午後7時45分に下関駅に到着、上り列車は午前10時40分に下関駅を出発し、午後10時30分に大阪駅に到着と「昼行列車」として運行される。行き先ごとに旅のスタイルや途中駅の車窓などを考慮して運行時間を設定しているとのことで、単純に夜行列車「銀河」が復活したというわけではない。

 とはいえ、この時代に夜行を想定した設備を持つ車両を導入するというのはJR西日本にとっても大きなチャレンジだったはずだ。車齢40年の「WEST EXPRESS銀河」は、そう遠くない時期に車両としての寿命を迎える。「夜行」に開拓の余地はあるか、この「次」をどうするか、利用状況や反応を見ながら水面下で検討が進められていることだろう。JR西日本、地域、利用者のそれぞれがこの列車をどのように育てていくか、注目したい。

枝久保達也(えだくぼ・たつや)
枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。

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