5時から作家塾

世界初の試み、ニコチン依存の治療をアプリで 厚労省から薬事承認も

吉田由紀子
吉田由紀子

 この豊中市の取り組みは、SIB(ソーシャルインパクトボンド)という仕組みで運営されている。これは民間から調達した資金をもとに行政がサービスを市民に提供し、その成果に応じて行政が委託料を支払うという新しい連携手法である。禁煙事業のようなヘルスケア分野では、住民の疾病予防や早期発見につながり、社会保障費や医療費などの削減が期待されている。

アメリカにも会社を開設、アプリ機能の世界展開狙う

 株式会社CureAppでは、このプログラムを進化させた「治療アプリ(R)」の開発にも成功している。それが、「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」(以下、CureApp SC)。今年8月21日に厚生労働省より正式に薬事承認され、アジア圏では初の治療アプリとして年内の保険適用を目指している。

 このCureApp SCは、ascure卒煙プログラムと違って医師から処方されるのが特徴だ。患者用アプリ・医師用アプリ・ポータブルCOチェッカーの3つから構成されており、患者の治療状況や体調に合わせて個別に対応をしていく。また、セットのポータブルCOチェッカーを使用し、呼気中の一酸化炭素濃度の精緻な計測が自宅でできるようにもなっている。

 「在宅や勤務中など医療者の介入が難しい『治療空白期間』を治療用アプリが支援することで、禁煙継続率が向上します。医師は、患者がアプリに入力した内容に基づいて前回の診察以降の様子を詳細に知ることができます。そのため、従来の治療より効率的で質の高い禁煙治療が可能になると考えています」(佐竹晃太さん、以下同)

 社長の佐竹さんは、慶応義塾大学医学部卒業後、国内の病院に呼吸器内科臨床医として従事した。その後、アメリカに渡り、ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院にて修士(MPH)を取得している。そこで治療アプリの研究に携わった経験をもとに、国内での普及を目的として2014年に起業をした。

 「アメリカやヨーロッパではすでに、治療アプリが次々と保険適用され、医療の現場で活用されています。糖尿病や薬物使用による傷害、またADHD(注意欠陥多動性障害)などの治療用アプリが、従来の治療と遜色のない成果を出し評価を受けています。治療アプリは既存の医薬品に比べて、価格が各段に安いため、日本でも今後普及していけば、医療費の適性化をもたらすものと思います」

 株式会社CureAppは、昨年、アメリカにも会社を開設した。この禁煙アプリは現在、FDA(アメリカ食品医薬品局)に申請中である。今後は、大きな社会問題になっているアルコール依存症の治療用アプリの開発にも注力していく予定だ。

 肥大化する日本の医療費、その一助となる可能性を秘めた治療アプリ(R)が、これからの医療現場でどんな活躍を見せてくれるのか注視したい。(吉田由紀子/5時から作家塾(R)

5時から作家塾(R)
5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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