宇宙開発のボラティリティ

数字で実感する驚異的な宇宙技術 秒速7.9km、打ち上げ能力3465トン

鈴木喜生
鈴木喜生

 人類は半世紀以上前から宇宙にアプローチしてきました。その宇宙探査に関するさまざまな数字を紹介します。宇宙は広大で、そこに到達するためには大きなパワーと速度が必要ですが、ヒトはさまざまなことを成し遂げ、実現し、宇宙に一歩ずつ歩み寄っているのです。

「秒速7.9km」 宇宙へ行くために必要な初速度

 地球の重力に逆らって、地球を周回する軌道にモノを乗せるには、1秒間に7.9km進む速度が必要です。時速にすると2万8440km、マッハ23.9です。これはジェット旅客機(時速約1000km)の28倍、新幹線(時速285km)の100倍の速度です。圧倒的な推力を持つロケットは、上昇するにつれて大気が薄くなって空気抵抗が減るため、この驚異的な速度に到達できるのです。

「3465トン」 過去最大ロケットの圧倒的な推力

 史上最大のロケットはアポロ計画で使用された「サターンV」です。全長110.6m。燃料を満タンにした総質量は3040トン。それを持ち上げるために第1段ロケットは3465トンの推力を発します。第1段ロケットのエンジンは2100トンの燃料をたった2分40秒で燃やしつくし、そのとき高度は68km、時速は9920kmに達します。第1段が分離されると第2段が点火され、さらに高度と速度を上げていきます。

「108.5m×72.8m」軌道上に浮かぶ巨大ステーション

 ISS(国際宇宙ステーション)は、地上から高度400kmの軌道上にあり、約90分間で地球を1周しています。モジュールと呼ばれる筒型の部屋を最初に打ち上げたのは1998年。その後、モジュールや機材を1基ずつ打ち上げて結合した結果、幅108.5mもの巨大な建造物になりました。その大きさはアメフトやサッカーのフィールドとほぼ同じです。建設から20年以上が過ぎた2020年時点での総質量は420トンです。

「130億年前の光」 宇宙望遠鏡が観測した宇宙最古の光

 光は1秒間に30万km進みますが、太陽と地球は1億5,000万km離れているので、太陽光は地球に届くまでに8分19秒かかります。つまり、私たちが見ている太陽光は8分19秒前に発せられた光なのです。宇宙に浮かぶ「スピッツァー宇宙望遠鏡」は2019年、なんと130億年前に発せられたと思われる光を観測しました。130億光年離れた場所にある銀河が発したこの光は、130億年後、やっと地球に届いたのです。

「110回」 一年間の打ち上げ回数

 2019年11月から2020年10月までの1年間で打ち上げられたロケットの総数は計110機(失敗含む)。つまり3日に1機以上のロケットが世界のどこかで打ち上げられ、ヒト、人工衛星、惑星探査機などが宇宙に届けられています。機種別に見るとスペースX社の「ファルコン9」が20機でもっとも多く、ロシアの「ソユーズ2」の15機、中国の「長征2号」の10機、「長征3号B」の9機がそれに続きます。

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