教育・子育て

DXのプロが授ける「新たな武器」 中高生ならデータサイエンスが無料で学べる

 LINEリサーチによると、「男子高校生のなりたい職業」第2位は「システムエンジニア・プログラマー」だという。一方で、一部の私立校などを除き、プログラミング教育を導入している高校はまだ少ないのが現状だ。小学校では2020年度からプログラミング教育が必修科目となっているが、中学校では2021年から全面実施、高校では2022年から授業がスタートする。

 現状を鑑み、「データサイエンスに興味がある学生たちに、学校での授業を待たず、今すぐ学びに没頭して欲しい」との願いから開かれる「データサイエンス講座」がある。

 主催は、多国籍の高校生たちが自身のサイエンスプロジェクトに打ち込む新しいスタイルの学びを提供する研究機関「Manai(マナイ)」。中学3年生から高校2年生までを対象にした2カ月間(全5回)の無料講座だ。

 高校生向けのデータサイエンス講座はすでにいくつかあるが、費用が高額で、子供としては「親に頼みにくい」という声もあるという。そこでマナイは、支援者などのサポートにより「無料」とすることで、講座参加への間口を広げた。

第一線のデータサイエンティストから学び、考える「未来」

 注目すべきは、国際的なネットワークを有するデジタルコンサルタンシ―「デロイト デジタル」から講師が招かれる点だ。DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を担当する現役データサイエンティストたちから直接、そして多面的にAIについて学ぶ実践的な内容になっている。

 講座が目指すのは、学びを「社会問題に実装すること」。ワークショップと並行して各自グループワークを行い、最終日に「AIを用いて社会課題を解決する未来」について発表する。講座で得た学びから、AIが一般的な技術になっているであろう「自分たちの未来」について考えてもらう狙いだ。

「人は没頭からしか学ばない」

 講座を主催するマナイの代表である野村竜一氏は、SankeiBizの連載『教育、もうやめませんか』(2019年2月~2020年3月掲載)で執筆を務めた人物。起業家であり、教育環境を創る「エデュケーションデザイナー」で、「子ども・学生たちには主体的に学んで欲しい。その環境を作るのは大人の役割」と信じている。

 野村氏のサイエンス教育における理念は自身の原体験から生まれた。小学生の頃に流行した小型の動力付き自動車模型「ミニ四駆」にのめり込んだことがきっかけだ。「とにかく自分のマシンを早く走らせたい」と改良を加え、人生初の徹夜も経験。図書館に通い、モーター、電池の電圧降下の仕組みや重心の概念などを調べるなど、多面的にアプローチすることで「問題発見のための対照実験のプロセスが自然と身についた」と振り返る。そして、これらの体験から「人は没頭からしか学ばない」と感じたという。

 今回のデータサイエンス講座でも、「学びにのめり込んでもらう機会」を提供する。学生たちに「新たな武器」を与えると同時に、自分たちの未来についても考えてほしいと願っている。

  • 【講座名】データサイエンス講座2ヶ月プログラム ~AI×10年後の社会とワタシの未来を描く~
  • 【開催日時】2021年1月31日(日)~3月31日(火)※全5回
  • 【場所】東京都新宿区市谷田町2-7-15 市ヶ谷クロスプレイス8階
  • ※オフラインとオンラインで開催
  • 【内容】ワークショップやグループ課題を通し、データサイエンスを実践的に学ぶプログラム
  • 【詳細および申し込み】MANAI Webサイト
  • 【募集締切】2020年12月31日正午(日本時間)

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