試乗スケッチ

ホンダの“情熱と魂”が詰まった「シビック タイプR リミテッドエディション」

木下隆之
木下隆之

競技者レベルの作り込み

 ブレーキの形状や材質は、サーキットの連続走行で過熱、摩耗し、性能が低下するその領域での耐久性を求めている。もはやレースで戦う競技車レベルの作り込みなのである。

 もう一度確認しておきたい。このクルマはレーシングカーではなく、登録番号が取得可能で、市街地を走ることも許された4ドアセダンなのである。ただし、魂はコンペティションの世界にある。つまりはホンダの魂なのである。だからサーキットが似合う。

 市販車では到底対峙(たいじ)できない鈴鹿サーキットでさえ、シビック・タイプRがコースを持て余すことはない。ストレートでは軽々と230km/hに達し、そこからのハードブレーキングでも強烈な減速Gを見舞う。根性試しの高速コーナーにも200km/hオーバーの速度からアプローチ可能だ。

 鈴鹿サーキットにおいて2分23秒9で走り切るのは、一部のプロドライバーのみがのぞける世界であり、あるいは一部のレーシングマシンのみに踏み入ることができる速度域である。

 走りに熱く、最速でなければ気がすまないホンダの情熱が詰め込まれている。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。

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