鉄道業界インサイド

遠距離通勤が生んだ世界最大の高速鉄道車両 引退近づく2階建て新幹線E4系

枝久保達也
枝久保達也

 快適性より定員重視の6列シート

 E1系の定員は従来の200系(10両編成)が約800人だったのに対し、1.5倍の1235人まで増加。さらに1997年には8両編成の2階建て新幹線としてE4系が登場し、こちらは1編成で定員817人、2編成を連結した16両編成では高速鉄道車両としては世界最大となる定員1634人の収容が可能となった。

 これほどの定員を確保するために、E1系とE4系では自由席車両の2階席の座席にリクライニングしない3列+3列のシートを採用しており、快適性よりも乗車定員を重視した、世界最速の通勤電車といった趣きの車両であった。

 しかし、1998年に東北新幹線八戸~新青森間のフル規格での建設が決定すると、東北新幹線を高速化する必要が生じ、定員は多いが最高速度の遅い2階建て新幹線は活躍の場を狭めていくことになる。

 1999年にE1系が東北新幹線から撤退し、全編成が上越新幹線に転属。2012年にE1系が引退すると、E4系も東北新幹線での定期運用を終了し、上越新幹線での運行が中心となった。そしていよいよ上越新幹線からも引退の時が近づいているというわけだ。

 いつの日か、かつて通勤客を乗せるために全車2階建ての新幹線が製造されたことがあると語られる日が来るのかもしれない。

枝久保達也(えだくぼ・たつや)
枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。

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