新時代のマネー戦略

お金かけない「低リスク起業」の実態 待ち受ける3つの不安に、FPがすすめる準備方法

小沢美奈子
小沢美奈子

起業したらお金・家族・保険はどうなる? 3つのアドバイス

 とはいえ、起業をする上で、知っておきたいことや注意すべき点もあります。起業家の取材経験をもつファイナンシャルプランナーとして、アドバイスが3つあります。

▼アドバイス1 当面の生活費を準備しておく

 起業後すぐに十分な収入が得られる人はごく一部の人です。起業の際は、当分無収入でも生活できる貯金(生活防衛資金)を準備しておくことが大切です。

 最低でも2年分くらいの生活費を事前に準備しておくと良いでしょう。1年分は災害や病気など、不測の事態の備えた資金です。もう1年分は、事業をスタートして1年間無収入だったことを想定した生活資金です。

 また、可能であれば、事業以外の定期的な収入を確保しておくことも望ましいでしょう。たとえば、夫婦の場合、一方の配偶者が会社員でいれば、定期的な収入は確保できることになります。

▼アドバイス2 家族を味方に付けておく

 起業をする際は、家族の理解を事前に十分に得ておきましょう。筆者がインタビューした起業家の多くも「家族を味方に付けておくことの大切さ」を力説していました。売り上げが伸びる時もあれば、そうでない時もある。そんな時に家族の理解や助けが、精神面でも経済面でも支えになるからです。

 ここで、家族の理解を得るための方法を1つご紹介します。家族の不安はやはり金銭的なことに尽きます。起業前にキャッシュフロー表を作ることをおすすめします。まずは収入の目標値を作り、その上で、貯金と出費とのバランスを確認します。数字という動かぬ証拠により、漠然とした不安が解消されることもあります。

▼アドバイス3 社会保険の違いを理解しておく

 起業後に加入できる社会保険制度に違いがあることを知っておくことも重要なことです。

 会社員が加入する社会保険には、労災保険や雇用保険、健康保険、厚生年金保険(以下、厚生年金)、介護保険などがあります。会社に雇われている限り、これらの保険料は勤務先の負担か、もしくは、勤務先と半々で負担することになります。また、年間収入が130万円未満で、かつ、被保険者本人の年間収入の2分の1未満である家族がいれば、扶養に入れることも可能(*)です。*出典:全国保険協会HP「被扶養者とは?」

 一方、会社員から個人事業主として起業し、国民健康保険と国民年金保険に加入した場合は、保険料の負担はすべて自らが負うことになる上に、扶養という概念がないため、扶養家族がいれば、その人数分の負担が必要になることも理解しておきましょう。

 また、会社員が加入する健康保険には存在し、国民健康保険には存在しない制度もあります。それが傷病手当金です。病気などで働けなくなった場合に受け取れる手当金です。長期で療養が必要となった場合などに傷病手当金が受け取れないことは、国民健康保険に加入している人にとっての懸念材料になります。貯蓄や民間の保険などでカバーするなど、何かしらの対策を講じておくことが望ましいでしょう。

起業で失敗しないために「入念な準備」を

 起業は「勢い」も大事ですが、損をしないためにも周到な準備をしておくことが必要です。

 また、起業にあたっては、助成金を活用できることもあります。「起業時に助成金の存在を知らずに、すべて自己資金でまかなった」という起業家の声も聞いたことがあります。助成金については、ネットでの情報収集はもとより、地域の商工会議所などに相談してみるのも1つの方法です。

小沢美奈子(おざわ・みなこ)
小沢美奈子(おざわ・みなこ) ファイナンシャルプランナー AFP認定者
K&Bプランニング代表。大学卒業後、損害保険会社にて社員教育、研修講師などを経験。約12年間勤務後、外資系損害保険会社で営業に従事。ファイナンシャルプランナーとして活動開始後はWebや書籍などで記事執筆、セミナー講師、家計相談、写真撮影などを行う。シニアや生活困窮者のライフプランにも力を入れる。フォトライターとしても活動。趣味はカメラ。

【新時代のマネー戦略】は、FPなどのお金プロが、変化の激しい時代の家計防衛術や資産形成を提案する連載コラムです。毎月第2・第4金曜日に掲載します。アーカイブはこちら

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