疲労回復のアロマ、BGM機能も
運転の状況を監視し、ふらつきや加減速からドライバーの疲労を感じると疲労回復のアロマが漂い室内などの色味が変化する。そして、それに相応しいBGMが流れるといった細工もある。いかにもデジタルに時代に相応しい。
機能は豊富であり、それをタッチパネルに集約している。スイッチやレバーといったアナログ的な機能は減っている。その分だけ操作は階層をめぐる必要があり、目線を動かさなければならない。安全ドライブに支障をきたすのではないかと心配はしてみたものの、メルセデスは音声認識に頼ることで解決しようとしている。もはや、指先でボタンを押したりレバーを捻ったりすることはなく、その位置を記憶する必要もなく、全ては音声認識で反応するように設定されているのだ。先進技術の投入には遠慮がないのだ。
それでいて、シートにはマッサージ機能がついており、ヘッドレストには肉厚ピローが組み込まれている。走りは4輪操舵であり小回りが利く。サスペンションはエアサスで、乗り心地は穏やかだ。ハンドリングも悪くはない。というように、一方で旧態依然の技術にも磨きをかけている。
新型メルセデスSクラスは、デジタル時代に相応しい先進性と、王者に君臨してきた伝統を、高い次元でバランスさせているのだ。守らねばならぬ伝統と、これからの先進性の喫水域が今なのだ。メルセデスSクラスはそれを語っているような気がする。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。