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問題は離婚? 夫婦で住宅ローンを借りる場合 気をつけたい控除の注意点

高橋成壽
高橋成壽

■離婚しづらくなることを承知の上で借りる、共有する

 夫婦で住宅ローンを借りる場合、最も難しい問題は離婚です。離婚した場合であっても、住宅ローンの返済は必要です。一般的には離婚すると別居することになるでしょうから、住宅ローン返済とは別に家を借りて家賃を払うことになります。

 すると、住宅ローン+家賃=毎月の住居費となります。住宅ローンをゆとりをもって返済できる金額で借りる人は少ないはずで、多くの世帯はそれなりに負担のある返済額になっているでしょう。そのうえで家賃が発生するのです。子どもが将来大学等進学のタイミングで家賃が発生するなら期間限定で事前に準備ができます。しかし、離婚となると話は別です。今後住宅ローンの完済まで住宅ローンと家賃の負担が続き、場合によっては住宅ローン完済後に家賃負担が続きます。

 夫婦で住宅ローンを借りる場合、1人の収入では審査が通らない、あるいは家計が苦しいから夫婦で住宅ローンを組むことになるでしょう。そうなると、離婚した後に元配偶者の持ち分を買い取ることも難しくなります。

 理論上は、相手の持ち分を買い取って、相手の住宅ローンを肩代わりすれば問題ありません。しかし、現実は収入の問題で断念します。もし、買取せずに相手の分の住宅ローンを肩代わりし続けた場合は、住宅ローン完済となっても家の所有権に元配偶者が残るという問題があります。自宅が共有になった場合、何かのきっかけに売却させられることがあります。

 夫婦の離婚はリスクがたくさんありますので、離婚リスクを検討した上で夫婦で住宅ローンを借りることをオススメいたします。

高橋成壽(たかはし・なるひさ)
高橋成壽(たかはし・なるひさ) ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
寿FPコンサルティング株式会社代表取締役
1978年生まれ。神奈川県出身。慶応義塾大学総合政策学部卒。金融業界での実務経験を経て2007年にFP会社「寿コンサルティング」を設立。顧客は上場企業の経営者からシングルマザーまで幅広い。専門家ネットワークを活用し、お金に困らない仕組みづくりと豊かな人生設計の提供に励む。著書に「ダンナの遺産を子どもに相続させないで」(廣済堂出版)。無料のFP相談を提供する「ライフプランの窓口」では事務局を務める。

【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら

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