日本を支える大学の研究活動と技術開発
工学院大学
完全リサイクルが可能 コンクリ製造技術開発
建築学部建築学科の田村雅紀教授は、二酸化炭素(CO2)を原料とする完全リサイクルが可能なコンクリートを製造する基礎技術の開発に貢献した。NEDOムーンショット型研究開発事業『C4S研究開発プロジェクト』として東京大学大学院の野口貴文教授(工学系研究科建築学専攻)らとの共同研究。自立型のカーボンニュートラル化に資する次世代型コンクリートの開発に一歩近づく成果だ。
大気中のCO2と水とカルシウム(Ca)を含む使用済みコンクリートのみを用いて、砕かれた使用済みコンクリートの粒子間に炭酸カルシウム(CaCO3)を析出させる。これにより、コンクリートが硬化するという新たな基礎的製造技術の開発を行った。この手法を用いると、使用済みコンクリートが過去に排出したCO2と、最大で同等程度のCO2を固定化できる。そのため、コンクリートはカーボンニュートラルとなる可能性を有している。
東京理科大学
植物を病気から守る微生物の評価手法を開発
理工学部応用生物科学科の古屋俊樹准教授、朽津和幸教授らの研究グループは、微生物を植物培養細胞と試験管内で接触させ、植物培養細胞の免疫応答の指標として活性酸素種(ROS)生成を計測することにより、微生物の植物免疫活性化能を評価する手法を開発した。ある種の微生物はワクチンのように植物の免疫システムを活性化できることが知られているが、従来の当該微生物のスクリーニング手法は、温室等で育成した植物体を用いた煩雑な菌の接種試験に依存しており、多くの時間と労力を要していた。今回古屋准教授らの開発した手法を利用すると、微生物が植物の免疫を活性化する能力を有するかどうかを、数時間で判定することができる。
広島工業大学
二足歩行のロボ格闘技大会で学生が特別賞
国内最大規模の二足歩行ロボット格闘技大会「ROBO-ONE(ロボワン)」で、広島工業大学から出場した「NEXUS」が特別賞を受賞した。工学部知能機械工学科4年生の尾田俊祐さんが2年かけて製作した。赤いLEDの眼や、「横回転蹴り」の大技を可能にする23のモーターなどデザインや動きの完成度にこだわった。観客を魅了した技術が評価され大会スポンサーから特別賞の「ミスミ賞」が贈られた。尾田さんは大学のロボット研究部所属。ロボワンは一般社団法人二足歩行ロボット協会が2002年に創設した大会。新型コロナウイルス感染症防止のため対戦は行わず、ペットボトルなどで作った標的にリモコン操作でキックなどの技をかける映像をオンラインで披露し競った。全国から36体が参戦した。
大阪電気通信大学
超小型電気自動車の競技大会で学生が準優勝
電気自動車やソーラーカーを設計、製作し大会出場をしている自由工房Solar Team Ku-Onが、3月に開催されたpico-EV・エコチャレンジ2021で準優勝した。同大会は、学生自らの力により、単三電池6本を用いて長距離走行を可能にする超小型電気自動車「pico-EV」の設計・開発・製作・評価を行い、その技術を競う大会だ。本年は新型コロナウイルスの影響によりオンライン開催となり、ポスターや映像、当日のプレゼン内容を総合的に評価する形で開催された。車両は、チームの1年生6人が中心となり製作。昨年9月から活動開始し、ラフスケッチやCADでの作業を経て車体を作成し、今年3月の本番に挑んだ。今後、同チームは今年7月に三重県の鈴鹿サーキットで開催される大会にも出場予定だ。
東京都市大学
健康維持へ室内照明を自然光に合わせ調節
建築都市デザイン学部建築学科の小林茂雄教授らは、照明環境が生体リズムや睡眠の質に及ぼす影響について検証・考察し、室内照明(照度・色温度)を自然光の変化に合わせて調節することが健康維持につながることを明らかにした。コロナ禍による在宅勤務が浸透している。この度、全国の25~59歳、正社員・フルタイムで働くオフィスワーカー男女600人に調査を行ったところ、5人に1人がコロナ以降、生活リズムの乱れを感じており、リモートワークになっている人のほうがその傾向が顕著だった。
埼玉工業大学
地元企業とリラクゼーション効果を共同研究
地元である埼玉県深谷市の企業との地域・産学連携を推進し、アーキテクトと特殊発泡ポリスチレン建造物(ドームハウス)の特性を活かした用途開発に向けた共同研究をはじめた。同研究では「ドームハウスによるリラクゼーションシステム」を体験した被験者の心身に与える影響について、人間社会学部情報社会学科情報コミュニケーション研究室の森沢幸博教授が共同で評価検証を行い、評価結果に基づいた独自のリラクゼーションシステムの提案を目指す。同システムを体験したユーザの生体情報から得られる身体的(他覚的)側面と共に、体験後に実施する評価アンケートによる心理的(自覚的)側面を多角的に解析。科学的根拠に基づくリラクゼーション効果の高いトータルケアシステムの主要因について検証する。
芝浦工業大学
簡便なポリフェノール含有量測定手法を開発
工学部電子工学科の六車仁志教授らの研究グループは、カーボンナノチューブ電極を用いた電気化学分析で、食品中のポリフェノール含有量を簡便に測定できる手法を開発した。定量化によって、抗ウイルス作用を持つポリフェノールの効果的な摂取が可能になる。それによりインフルエンザと同様に、新型コロナウイルスの感染予防にも役立てることが期待される。測定に用いたのは、ナノ材料であるカーボンナノチューブの機能性表面電極を利用したサイクリックボルタンメトリー(CV)法。CV法は溶液に浸した電極に電位を繰り返して流れる電流を測定する、電気化学の代表的な手法だ。今回は電流の量で成分の量を測定し、測定結果の波形から成分を特定した。
金沢工業大学
AI活用 設備の異常音を検知するアプリ開発
松井くにお研究室と別川製作所(石川県白山市)は、約1年間にわたって共同研究を行い、その成果として工場設備の異常を検知するアンドロイドアプリを開発した。アプリで録音した機械の稼働音をクラウドで解析し、機械が正常から異常に変わるまでの過程を可視化できるようにするもの。
松井研究室からは、松井くにお教授、情報工学科4年次の徳田真之介さんが参加した。共同研究は、身近なスマホアプリの機能と、別川製作所が展開する人工知能(AI)とモノのインターネットといわれるIoTを駆使した分析機能とを連携させ、新たな価値、サービスの創出の可能性を追求するものとなった。
【ガイド】
工学院大学 E-mail:gakuen_koho@sc.kogakuin.ac.jp
芝浦工業大学 E-mail:koho@ow.shibaura-it.ac.jp
千葉工業大学 E-mail:cit@it-chiba.ac.jp
東京電機大学 E-mail:keiei@jim.dendai.ac.jp
東京理科大学 E-mail:koho@admin.tus.ac.jp
東京都市大学 E-mail:toshidai-pr@tcu.ac.jp
大阪工業大学 E-mail:kikakuka@ofc.oit.ac.jp
大阪電気通信大学 E-mail:kouhou@osakac.ac.jp
金沢工業大学 E-mail:koho@kanazawa-it.ac.jp
豊田工業大学 E-mail:s-koho@toyota-ti.ac.jp
広島工業大学 E-mail:kouhou@it-hiroshima.ac.jp
愛知工業大学 E-mail:d-koho@aitech.ac.jp
埼玉工業大学 E-mail:kikaku@sit.ac.jp