過去の統計データから推測も
それではカメラのない駅ではどうやって混雑率を把握しているのかというと、過去の統計データから、各駅で号車ごとにどの程度乗降があるか、パターンを推測することが可能なのだという。そのため、アプリは走行区間の混雑状況だけでなく、先の区間の混雑状況の予測も提供している。
ただそうなると、カメラのない駅で数十人が特定の車両に突発的に乗車した場合には、混雑状況を正確に把握できないのではないかという疑問が生ずる。しかし東京メトロの担当者によると、そうした例外はほとんどなく、多くはパターンに沿った乗降が行われているそうだ。
乗客の数が増減しても基本的なパターンは一定のため、パターンにデプスカメラで測定した混雑状況を掛け合わせることで、区間ごと、車両ごとの細かい混雑状況が算出できる。少なくとも、アプリが提供する4段階の混雑状況で示す分には十分な精度が得られるという。
実は同じような考え方で混雑予測をしているのが東急電鉄だ。東急は2017年からナビタイムジャパンと連携し、各列車、各号車ごとの混雑状況を公開しているが、こちらもナビタイムジャパンの「電車混雑シミュレーション」技術に、車両別の荷重状況をもとにした乗車率データを組み合わせた予測に基づき、実際の混雑状況を測定することなく情報提供を行っている。
東京メトロのシステムは、こうしたシミュレーションに加えて、デプスカメラの情報で補正をかけているというわけだ。
ただ、ダイヤ乱れ時などはパターンに沿わない利用が増えるため、混雑状況が提供できないケースがあるという。このあたりは銀座線、丸ノ内線の運用状況を見ながら、今後の展開に反映していきたいとしている。
【鉄道業界インサイド】は鉄道ライターの枝久保達也さんが鉄道業界の歩みや最新ニュース、問題点や将来の展望をビジネス視点から解説するコラムです。更新は原則第4木曜日。アーカイブはこちら