親世代とは違うテーマを選ぶ イマドキ夏休み自由研究事情
特別でなくていい
そうはいっても日常の困り事が見つからないという人もきっといるだろう。テーマが決まらなければ焦りが募るばかりだ。
「私もかつてそうでした」。そうほほ笑むのは大阪市立科学館の学芸員、西岡里織さんだ。同館の天文担当で、夏休み自由研究教室の講師を務めた経験もある。そんな西岡さんでも子供の頃、自由研究は苦手だったそう。
「『自由研究だから特別なことをしないと』と気負い過ぎてうまくいかなかったんでしょう」と苦笑。「でも身近なもので研究はできるんです」
例えば幼いころから空を眺めるのが好きだった西岡さんなら「雲の観察」。夏休みは入道雲など積乱雲が発生しやすく、気象に関する参考図書が多いのも研究がはかどりそう。日々の雲を観察し、時には写真に収める。
「できるだけ大きな紙に、それぞれの雲の高さをスケールを合わせて描いたり、写真を貼る。天気予報の解説を聞き、書き入れてもいいですね」とポイントも教えてくれた。
また、お盆の時期に活発になるペルセウス座流星群の観察もおすすめだそう。「今年は最も流星が多くなる『極大』の時間が日本時間の明け方頃で、月の光の影響も受けにくいなど観測にぴったりの条件がそろう年なんです」
子供自身が好きなものをうまく言葉にできないこともある。そんな時こそ保護者が、子供が好きなものをさりげなく言葉にして自由研究へ誘導したい。科学館や博物館などに同行し、一緒に楽しみながらテーマを見つけるのもいい。
オンラインでも
例年、夏休みに科学館や博物館などで人気を集める自由研究のお助け講座も今年は3密回避で縮小傾向が続く。一方で、オンラインで自由研究サポートを始める動きもある。
ポケットマルシェ(東京)は今夏から農業生産者が講師役を務める講座を開講している。7月21日には京都府舞鶴市のお茶農家、藤尾暁子さん(26)がお茶の抗菌効果の研究方法を紹介した。
煎茶(せんちゃ)入り培地と入っていない培地で菌の繁殖を比較するもので、東京や大阪、福岡など全国各地から児童8人が参加した。保護者からは「身近な飲み物なので子供が興味を持ちそう」と好評だった。
藤尾さんは「自由研究は夏休みの宿題の一つではあるが、いろいろなことに疑問を持つきっかけになれば」と話していた。(木ノ下めぐみ)