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浸水や土砂災害で避難生活に… 生活再建のための罹災証明書と支援金の活用

高橋成壽
高橋成壽

 豪雨に伴い、九州、中国地方のみならず全国的に避難指示が発出しています。広範囲での浸水被害や山間などでは土砂崩れが発生しています。自宅の浸水被害や土砂崩れによる埋没では自宅での生活は困難です。土砂を重機と人手で取り除くことは大変な労力です。復旧は短期間で完了するものではないため、場合によっては自宅以外に家を借りたり、長期にわたり避難所に住み続ける生活が続くこともあります。避難生活からの生活再建ではどのような制度があるか解説します。

■まずは罹災証明書の取得

 生活再建の一歩目は罹災証明書を受け取ることから始まります。罹災証明書はお住まいの自治体が発行する書類です。自然災害に被災したことを証明する公的な書類のため、被災以降に様々な制度を活用する際の添付書類としても利用されます。

 被災時は罹災証明書があってはじめて、被災者であると認定され各種制度が使えるようになるのです。罹災証明書が発行されていないことは、被災していないことを意味するため、被災者と被災していない人を明確に区分することができます。

 性善説だけでは制度を悪用する人や、ただ乗りする人もでてくるため、罹災証明書を制度利用の条件にすることで、被災の有無を簡単に判定することができます。

 罹災証明書を取得する際は、被災した住まいの所有者や同居の家族が申請できます。罹災証明書の申請後、災害が落ち着いたタイミングで自治体の担当者が現地調査を行い、被害の大きさを認定します。

 建物の被害は、全壊、大規模半壊、中規模半壊の3段階となります。避難後にもし余裕があれば、スマートフォンで自宅の外観や内装を写真におさめておくといいでしょう。ただし、自宅倒壊の危険や土砂災害が発生する可能性がある場合、自宅に近づくのは危険ですから止めましょう。

 罹災証明書は、別途解説する税制優遇の適用を受ける際にも必要です。被災時の各種申請には罹災証明書が必須ということを忘れないでください。

■被災者生活再建支援制度による公的支援制度の申請

 被災者生活再建支援法という法律があります。この法律に基づいて、自然災害で生活基盤に著しい被害を受けた人の生活再建を支援するため被災者生活再建支援金を支給します。

 令和2年7月3日以降の災害では、従来の全壊、大規模半壊に加えて、中規模半壊という段階が加わりました。支援金請求書に記載する被災区分としては、全壊、解体(半壊・敷地被害)、長期避難、大規模半壊となっています。※この区分に加えて、中規模半壊が加わるものと考えられます。(内閣府HPより抜粋

 支援金の請求はお住まいの自治体に対して行います。支援金申請書の添付書類は

(1)罹災証明書

(2)解体証明書、滅失登記簿謄本、敷地被害証明書類

(3)住民票

(4)預金通帳の写し

(5)契約書の写し(加算支援金の場合)

 基礎支援金は発災日から13ヶ月以内、加算支援金は発災日から37ヶ月以内の申請となりますが、お住いの自治体に確認してください。

 なお、支援金を不正に受領した場合、支給決定の取り消しと支援金の返還請求を行います。その際、支援金に対して年率10.95%の加算金を請求します。返還日までに全額返還できない場合は、未納額に対して年率10.95%の延滞金も発生します。

 市区町村による被害認定の変更があった場合にも、支援金の返還を求められることがあるようです。これは不正受給ではありませんが、念の為記載します。

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