会社の基礎体力である自己資金を増やすには、経営者が多額の報酬を受け取って資本金を増やす、外部資本を受け入れる、納税後の利益をコツコツ積み上げていく方法が考えられます。
20年、30年先に会社がどうなるかわからない経済環境で、単に節税が目的となっている生命保険に加入し続ける意味は薄いでしょう。
節税という手法は、将来親族に自社株式を承継する場合は、自社株式の評価を下げる効果が期待できます。しかし、将来のM&Aなど事業や会社を外部に売却するような場合は、節税せずに企業体力を高めたほうが、経営者にとっても高値売却というメリットがあります。
実は、銀行や税理士など経営状況を把握している側からの生命保険提案は、最善の方法として生命保険を提案しているのではなく、提案側の短期の利益獲得のために企業保険を提案しているに過ぎない点に注意が必要です。
将来、会社の承継を考えるのであれば、節税保険は早めに見直すべきかもしれません。保険を解約すれば、貯まったお金を資金繰りの改善や戦略的な投資に活用したり、資金繰りを改善する効果があるでしょう。
なお、現在では金融庁の指導のもと、節税保険という言い回しは禁止されています。また、生命保険に節税効果はなく、課税の繰延に過ぎない点も説明義務があります。今回の内容は、従来の保険に加入している企業と、課税の繰延に過ぎないとわかっても加入の意思を示す企業への情報提供となれば幸いです。
【お金で損する人・得する人】は、FPなどお金のプロたちが、将来後悔しないため、制度に“搾取”されないため知っておきたいお金に関わるノウハウをわかりやすく解説する連載コラムです。アーカイブはこちら