試乗スケッチ

国民車「カローラ」にも“クロス”登場 時代が求める都会派アウトドアスタイル

木下隆之
木下隆之

 都会の生活に寄り添うクロス

 カローラクロスも同様に、カローラをベースにアウトドアを意識した作り込みである。SUV、あるいはワゴン的な雰囲気を滲み出し、一般的な流儀によってフェンダーモールでクロスカントリー感を強調している。

 ただカローラクロスは、装飾を整えただけではなく走りも整えている。サスペンション系は荒れた路面での不快な乗り心地を抑えるべく細工を施している。パワーユニットは直列4気筒の1.8リッターを基本に、ガソリンモデルとハイブリッドを準備。ハイブリッドには当然モーターによるアシストが加わるのだが、そこにも荒れた路面への心憎い配慮が窺える。路面の凹凸に応じて、電気モーターのトルクを瞬間的に制御、ボディの上下動を抑えるのだ。これにより滑らかでフラットな乗り心地が得られるのだ。

 実際にドライブした印象でいえば、クロスカントリーという言葉の響きから想像するような荒い乗り味は皆無である。荒地での効果も期待できるが、むしろ都会を颯爽と闊歩するに適したセッティングが窺える。

 実は、昨今のクロス系派生モデルの増殖は都会的SUVの趣向ともイコールなのだ。新型コロナウイルスに端を発したアウトドアへの欲求は、アクティブな生活への憧れが根底にある。とはいうものの、泥まみれになって道なき道を突き進むようなハード系のオフロード党ではなく、都会的生活の延長線上にそっと寄り添うだけのクロスカントリー色が求められているのだ。

 それが証拠にカローラクロスがラインナップするE-Four(4輪駆動)は、本格的なクロスカントリーに対応するものではなく、寒冷地仕様ともいえる生活四駆にとどめている。ゲレンデまでの積雪路で威力を発揮するには違いないが、あくまで穏やかな都会的“クロス”なのだ。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】こちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。

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