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一回も失敗しない人間っているの? 『県庁おもてなし課』直撃インタビュー(上)

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一回も失敗しない人間っているの? 『県庁おもてなし課』直撃インタビュー(上)

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インタビューに答えてくれた小説『県庁おもてなし課』の作家、有川浩(ありかわ・ひろ)さん=2013年(関西学院大学_難波功士ゼミ、有志学生記者撮影)  【Campus新聞】

 (2013(平成25)年)5月11日に公開される映画『県庁おもてなし課』(東宝)は、人気作家の有川浩(ありかわ・ひろ)さん(40)の同名小説(角川文庫)を原作に、注目監督の三宅喜重さん(46)がメガホンを取った話題作だ。2011年公開のヒット映画『阪急電車 片道15分の奇跡』でもコンビを組んだ2人を、関西学院大学社会学部難波功士ゼミの学生記者たちが直撃インタビュー。作品に込めた思いに迫った。

 □今週のリポーター 関西学院大学 難波功士ゼミ 有志学生記者

 失敗を恐れず 何度でもチャレンジを

 まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。作家の有川浩さん。現在公開中の映画『図書館戦争』やTBS系日曜劇場で放送中のドラマ『空飛ぶ広報室』は、いずれも有川さんの小説が原作。そして、5月11日には映画『県庁おもてなし課』が公開される。有川さんの出身地である高知の県庁に実在する「おもてなし課」を題材にした同名小説の待望の映画化だ。

 有川さんの小説『阪急電車』を映画化した『阪急電車 片道15分の奇跡』(2011年公開)の制作スタッフが再集結。監督は、『阪急電車~』で第21回日本映画批評家大賞・新人監督賞を受賞した三宅喜重さん。主演は関ジャニ∞の錦戸亮さん(28)。ヒロインは堀北真希さん(24)が務め、船越英一郎さん(52)、高良健吾さん(25)、関めぐみさん(27)らが脇を固める。

 有川浩さんと三宅喜重さんの2人に話を聞き、『県庁おもてなし課』を通じて何を伝えたかったのかを学生ならではの目線で探ってきた。

 若者に「申し訳ない」

 「今の学生についてどう思いますか?」。原作を読んで、若者へのメッセージが込められていると感じたので、いきなりこう聞いた。答えは意外なものだった。

 有川さんは顔をしかめながら、「申し訳ないと思っている」。理由は、「私たち大人がしっかりしてなかったから。本当だったら、子供って失敗してもいいはずなのに、失敗したら取り返しがつかないみたいな空気になっちゃってるじゃないですか。大人の世代の一人として申し訳ないと思う」。

 そして、「一回も失敗しない人間ってどこにいるの? 自分に対してはいくら厳しくてもいいのだけど、人に対して、おうような気持ちを持つことができたらいいかなって思います」と、続けた。

 失敗を恐れ、自分の意見を言えなかったり、やりたいことをできなかったりする人は少なくない。本作中でも、失敗が許されないような社会に心が押しつぶされそうになるシーンがある。それでも、主人公の掛水は失敗を恐れずにチャレンジし続けている。その姿は、まさに「カッコイイ」の一言に尽きる。それこそ、これから社会に出る私たち若者が志すべき姿ではないかと感じた。有川さんが言うように、他の人に対しておうようになることができれば、誰もが挑戦できる社会をつくる第一歩になるのかもしれない。

 頭の中に「中2男子」

 「私の中には“中学2年生の男子”が住んでいる(笑)」。有川さんが描くラブストーリーに魅了されている多くのファンを代表して、「どうやったらこんな誰もが共感できるラブストーリーを書けるのですか」と聞いてみると、こう答えてくれた。

 有川さん自身の女性としての価値観と、彼女の中に潜んでいる男子の部分を持ち寄ることで、自然に描けるのだという。

 「私が物語を作るのではなく、キャラクター(登場人間)が生きた結果として物語ができるのであって、それを垣間見ているだけ。だからこそ、キャラクターに対して、ちゃんと一人の人間としての敬意を忘れたくない」

 有川さんにとって物語は、“書く”のではなく、自然に“描き出される”ものなのかもしれないという印象を受けた。だからこそ、その物語は、どんどん広がっていくのだと感じた。

 

       ◇

 ■ありかわ・ひろ 1972年生まれ。高知県出身。2003年に『塩の街』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞し、04年に同作でデビュー。主な著作は『空の中』(04年)、『海の底』(05年)、『図書館戦争』シリーズ(06年~)、『クジラの彼』(07年)、『阪急電車』(08年)、『フリーター、家を買う。』(09年)、『キケン』(10年)、『県庁おもてなし課』(11年)、『旅猫リポート』(12年)など。

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