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崖っぷちNOKIA ファーウェイも食指

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの経済

崖っぷちNOKIA ファーウェイも食指

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 ≪ウィンドウズフォン空振り MSは破談≫

 フィンランドの通信機器大手、ノキアの身売り話が具体化している。6月19日には米マイクロソフト(MS)が携帯端末事業の買収を検討したが破談になったことが明らかになり、18日には中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)も買収を検討していると報じられた。2011年までの14年間、携帯電話端末の世界市場で売り上げ1位だった王者ノキアだが、スマートフォン(高機能携帯電話)戦略でつまずき、昨年、韓国のサムスン電子に次ぐ2位に転落。業績悪化で株価もピーク時の2000年4月から9割以上も下落し、八方ふさがりの状況だ。

 スマホ戦略でつまずき

 MSによるノキアの買収計画は6月19日付米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係筋の話として伝えた。WSJ(電子版)によると、交渉は6月にロンドンで行われたが、買収価格が折り合わなかった上、株式市場でのノキアの低評価ぶりが災いし、決裂した。交渉再開の見込みはないという。

 報道についてノキアの広報担当者はWSJに「MSとは深い関係にあり、両社が定期会合を持つのは珍しいことではない」と説明したが、MS側はコメントを控えた。

 確かに、両社が深い関係であるのは間違いない。携帯電話用の基本ソフト(OS)で米グーグルの「アンドロイド」や米アップルの「iOS」に大きく出遅れたMSは2011年、自社OS「ウィンドウズフォン」のシェア拡大のためノキアと携帯電話事業で提携。ノキアは昨年9月、最新型のOS「ウィンドウズフォン8」搭載のスマホ「ルミア」シリーズを発売する大勝負に出たが、売れ行きはさっぱりだった。

 「盗聴」 新たな火種懸念

 ノキアの全世界の携帯電話市場でのシェアはアップル製「アイフォーン」が登場する以前の2007年には約50%を誇ったが、米調査会社IDCによると、今年1~3月期のシェアはわずか2.8%。OSのシェアも3.3%だ。さらに米調査会社ガートナーによると、今年1~3月期のノキアの全世界での携帯電話の販売台数は前年同期の約24%減と大きく落ち込んでいた。MSのもくろみは外れ、ノキアも崖っぷちに追い込まれた格好だ。

 だが、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、そんなノキアにファーウェイの消費者ビジネスグループの責任者、リチャード・ユー氏は「われわれはこの種の買収案件を検討している。両社が一体化すれば何らかの相乗効果を得られるが、問題はノキアが前向きかどうかだ。しかしわれわれはどんな提案でも受け入れる」と述べ、買収に意欲を見せた。

 しかし、ファーウェイに関しては各国で中国当局による盗聴疑惑が指摘されており、米下院情報特別委員会は昨年、報告書で、安全保障上の観点からファーウェイ製品を政府の通信システムから外すよう求めた。ノキアの技術がファーウェイに吸収されれば、新たな問題の火種にもなりかねない。

 ノキアの「ルミア」シリーズ発売目前の昨年8月31日、ロイター通信は「ノキアはウィンドウズに全てを懸けたが、もしも失敗すれば会社の身売りや主要資産の切り売りが現実化する」とのアナリストの分析を報じた。それから10カ月がたち、ノキアの憂鬱は深まるばかりだ。(SANKEI EXPRESS

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