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【Campus新聞】フリーペーパーで 学生向け「食育」活動(上)
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【Campus新聞】フリーペーパー「Essens」(エッセンス)では、フリーペーパーの発行と同時に食事会などのリアルなイベントを通じて、大学生に「食育」の大切さを伝えている=2013(平成25)年3月14日(学生団体「Essens」撮影) 現役大学生が編集・発行しているフリーペーパー「Essens」(エッセンス)は、同世代の大学生に向け、「食」の大切さを伝えている。「食育」というと小さな子供が対象というイメージがあるが、勉強や遊びに忙しく食生活が乱れがちな大学生にこそ関心を持ってもらいたいという。「おいしいごはんは未来を広げる」をテーマに、大学生ならではの視線で等身大の食情報を発信する活動について、フリーペーパーを発行する学生団体「Essens」のメンバーで駒澤大学3年の鎌田航平さん(22)がリポートする。
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□今週のリポーター 学生団体「Essens」メンバー 鎌田航平さん
≪「未来につながるごはん」を提案≫
「食」って何だろう。何を求めて食事をしているのだろう。そんなことを考えることは、なかなかないと思う。
「食事にどんな価値を求めていますか?」「食事はどんな人と楽しみたいですか?」「生きるために必要な義務ですか?」「食事は至福の時ですか?」
いろいろな質問が浮かんでくる。「飽食の時代」と言われるなか、聞かれないと、こんなことは考えたりしないだろう。
Essensでは、フリーペーパーを年3回発行し、食育活動を行っている。主なターゲットとして特に伝えたいと考えているのが、「大学生」だ。
大学生の食生活をめぐっては、「孤食」や「欠食」などさまざまな問題が指摘されている。大学生の生活は授業、バイト、飲み会、遊びと大忙しだ。いろんな誘惑に駆られ、食べることが、おろそかになっている。
朝食や昼食どころか、夕食もごはんを食べてないなんて学生もいる。だからこそ、Essensは、「無料」で情報を伝えることができるフリーペーパーという形で、大学生を対象とした食育活動を行っている。
「食」を見つめ直すことは、まさに自分を見つめ直すきっかけにもなる。勉強や遊びに忙しく食事や自分の体のケアがおろそかになりがちな大学生に、もっと「食」に興味を持ってもらうことで、現在の学生生活はもちろん、健康と笑顔にあふれた未来の生活へとつながっていく「食」を、Essensは伝えていきたいと考えている。
なぜいまフリーペーパーなのか。ほとんどの大学生がソーシャルメディアを使って、コミュニケーションを取っている。もちろん悪いことではなく、いまや大学生にとって欠かすことのできないツールとなっている。ただ、ソーシャルメディアには、「本当にちゃんと伝わっているのだろうか」という疑問がつきまとう。
Essensは、フリーペーパーを手にとってもらい、読んでもらって、「はい!食育完了!」という活動は行っていない。「非リアル」の中でのコミュニケーションではなく、「リアル」の中でのコミュニケーションを図るため、フリーペーパーの発行と同時進行で、定期的にイベントを開催している。
「食」に対する興味を持つきっかけになればと、食事会やクイズ、グループワークといった楽しめるコンテンツを企画・運営している。
Essensが「食育」の大切さと同時に伝えたいと考えているのが、「食べさせてもらっていることを忘れないでほしい」ということ。これは、メンバーが参加している農業体験を通じて感じたことだ。
日本は、食品の半分以上を海外から輸入している。その量は年5600万トンにも上るが、その3分の1に当たる1800万トンを廃棄している。さらに、その半分以上の1000万トンが家庭から出ている。日本の食品の廃棄率は、世界一の消費大国であるアメリカを上回っている。
日本は食料の輸入大国であるにもかかわらず、世界一の「残飯大国」なのだ。
農業体験に行った農家では、暑い日も寒い日も毎日のように、作物に愛情を注ぎ、「みんなが食べてくれる」と思いながら仕事をしているという。
Essensの活動を通じて、「食べさせてもらっている」ということに初めて気づかされた。だから、それをもっとたくさんの人に気づいてほしいと考え、活動をしている。
大学生が10年後に、健康であるために、日本が10年後も笑顔のある社会であるために、今の食生活が大切だと考えている。身体だけではなく、心にも優しい食生活を提案していきたい。(今週のリポーター:学生団体「Essens」メンバー 鎌田航平/SANKEI EXPRESS)
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