ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
トレンド
“逆輸入”されるといいのだが ノルウェー産の日本酒
更新
「叫び」で知られる画家ムンクの取材で先月(5月)、ノルウェーの首都オスロを訪れたときのこと。同行したノルウェー通の写真家がオスロ初の居酒屋、その名も「Izakaya」に連れていってくれた。昭和の任侠(にんきょう)映画、ポルノ映画のポスターなどが所狭しと貼られた店内は、キッチュなレトロ空間。オスロの真ん中で「網走番外地」の健さんに会えるとは思わなかった。
オーナーはノルウェー人男性3人組。うち2人は日本に留学経験がある。昨年3月にオープンし、料理担当の日本人、ミキさん(38)によると「お客さんの8割は地元の人。人気はギョーザかな」。
居酒屋だけに、日本酒や焼酎の種類が豊富。左党でないので知らなかったが、ノルウェー産の日本酒もある。北海道産の酒米「吟風(ぎんぷう)」を原料に、ノルウェーで醸造した山廃仕込みの純米酒「裸島」だ。
この“欧州初の日本酒”の蔵元は、ノルウェー南部にある地ビール醸造所、ヌウグネ・エウ社。杜氏(とうじ)のシュティル・ジキウンさんは元パイロットだ。日本で日本酒と出会い衝撃を受けたことが、その後の運命を決定づけたらしい。ちなみに「裸島」とはヌウグネ・エウの日本語訳。もとはノルウェーの詩人イプセンの叙事詩から取ったのだとか。
「裸島」のラインアップの大半は加熱処理を行わない生酒。試してみると、フルーティーで後味のキレもよく、ギョーザにも合う。Izakayaスタッフに聞くと、山廃からくる酸味が、ノルウェーの魚料理などにマッチするらしい。既に日本にも上陸しており入手可能だ。
和食の広がりとともに、海外で日本酒の消費が増えている。逆に日本国内では需要の落ち込みがとまらない。国税庁によると1990年代まで100万キロリットル以上あった清酒の年間販売量は、2010年度には約59万キロリットルと激減。海外での日本酒人気も“逆輸入”されるといいのだが。(黒沢綾子/SANKEI EXPRESS)